文大統領、COP26で温室効果ガス削減の上方修正を宣言

(韓国)

ソウル発

2021年11月09日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11月1日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会合(COP26)の首脳スピーチにおいて、2030年までの温室効果ガス削減に関し2020年12月に国連に提出した「国が決定する貢献」(NDC)を上方修正し、2018年比で40%以上(2021年10月27日記事参照)とするとともに、「グローバル・メタン・プレッジ」へ参加し、2030年までにメタン排出量を30%削減すると表明した。

このほか、森林吸収が温室効果ガスの削減に有効とし、韓国が過去培ってきた森林回復の技術を開発途上国に積極的に移転していくこと、さらに、石炭火力発電については、2050年までに全ての石炭火力発電所を廃止し、自国内のみならず開発途上国の再生可能エネルギー開発や低炭素社会の実現に向けた協力を強化していくことを宣言した。

また、企画財政部は11月2日、サイドイベントとして対外経済協力基金(EDCF)とともに「グリーンニューディールおよび気候変動協力強化のためのセミナー」を開催した。セミナーにオンライン出席したホン・ナムギ経済副首相は、韓国の気候変動対策として、(1)韓国版グリーンニューディール政策を通じ、2025年までにGDPの3.8%に当たる73兆4,000億ウォン(約7兆1,198億円、1ウォン=約0.097円)をグリーン分野に投資すること、(2)国内炭素排出権市場の一層の活用、(3)企業の気候変動関連情報の開示およびグリーンタクソノミー(注1)の導入、(4)グリーンODAの拡大、について紹介した。

さらに、環境部は11月3日、アジア水協議会(注2)とともに「アジア地域の気候変動危機克服に向けたハイレベルラウンドテーブル」を開催した。会議には、ハン・ジョンエ環境部長官のほか、インドネシア公共事業住宅相、スリランカ再生可能エネルギー省次官補、モンゴル気候変動特使およびアジア開発銀行などが参加し、気候変動対応に関する政策や事例の紹介、アジア水協議会およびアジア開発銀行による水分野の協力プログラムの提案などが行われた。

(注1)企業の経済活動が地球環境にとって持続可能か否かを判定し、グリーン投資を促す仕組み。

(注2)アジアの水問題の現状と課題解消のために、韓国政府が2016年に設立した協力機関。

(当間正明)

(韓国)

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