ロシア政府、COP26で森林の役割強化や化石燃料制限緩和で成果と評価

(ロシア)

モスクワ発

2021年11月30日

英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、ロシア政府は成果を挙げられたとの評価だ。

ロシア政府代表団副団長だったマクシム・レシェトニコフ経済発展相は「ベドモスチ」紙(11月22日)の インタビューに対し、COP26の成果として、温室効果ガス削減分の取引メカニズムを規定するパリ協定6条の実施ルールの採択を挙げた。「削減義務達成に向けた炭素クレジットの流通や利用に道が開けた」と述べた。

森林による二酸化炭素(CO2)を吸収するプロジェクトの炭素クレジット期間を当初案の5年から15年まで延長できたことも成果の1つとレシェトニコフ大臣は指摘した。ロシアの働きかけによって北部の森林プロジェクトのクレジット期間が15年に延長され、さらに45年まで延ばせる余地が最終合意文書に盛り込まれたという。

成果文書のグラスゴー気候合意の中で焦点となった石炭火力発電の扱いについて(2021年11月16日記事参照)、レシェトニコフ大臣は「排出削減対策が講じられていない(石炭火力発電)」の追記にロシアが他国と協力して関与したことも明らかにした。化石燃料に対する補助金の段階的な廃止に関する記述についても、ロシアが許容できる「非効率な」補助金と限定されたことで、今後も電力産業への投資を確保したうえでエネルギー転換できると評価した。

COP26期間中に発表された有志国による主な共同声明のうち、ロシアが参加したのは「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」のみだった(添付資料表参照)。「国際メタン誓約」(2021年11月4日記事参照)、「石炭からクリーンな電力への移行に関するグローバル声明」には参加しなかった。

代表団の第1副団長を務めたルスラン・エデリゲリエフ気候問題担当大統領特別代表は11月17日に開催されたバルダイ国際討論クラブ(注)主催の会議の 中で、国際メタン誓約に参加しなかったのは、2060年までのカーボンニュートラル達成計画(2021年11月10日記事参照)の中で既にメタン削減が考慮されているためとし、その上で、義務を負わないオブザーバーとして参加を検討できると考えを述べた。

(注)ロシアと世界各国の研究者やジャーナリスト、政治家が国際政治経済などに関する議論を行うプラットフォーム。プーチン大統領もクラブ主催の年次会合で講演を行う。

(浅元薫哉、エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア)

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