プーチン大統領、最大限の森林保全策実施を表明

(ロシア)

モスクワ発

2021年11月04日

ロシアのウラジミル・プーチン大統領は、11月1~2日に開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)世界リーダーズサミットの出席を見送った。ロシアは、サミットの期間中に発表された森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言に参加したが、米国とEUが2030年までに2020年比でメタン排出量を30%以上削減する目標を掲げて立ち上げた「国際メタン誓約」には参加しなかった。

欠席したプーチン大統領は、11月2日にサミットの枠内で開催された、森林と土地利用に関するセッションにビデオメッセージを寄せた。この中でプーチン大統領は、2060年までにカーボンニュートラルを達成するために世界の約20%を占めるロシアの森林資源を活用するとした上で、「違法伐採や森林火災対策など森林保全策を最大限講じる」と述べ、森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言案に支持を表明した。

米国主導のメタン排出削減の取り組みは、欧州に天然ガスを輸出するロシアへの圧力となる可能性が指摘されている。最近、西側メディアによって、ロシア国内の天然ガスパイプラインからメタンが大量に漏出していると相次いで報じられた。他方で、ロシア側専門家によると、ロシアでは原油やガス採掘の際に発生するメタンガスの排出規制が存在し、排出量の95%が貯蔵または加工されている。また、ガス輸送・貯蔵施設での漏出は世界各地で起きており、米国でも総排出量の4%を占めるとの指摘もある(「ベドモスチ」紙11月2日)。

COP26にロシア政府代表団(団長:アレクセイ・オベルチュク副首相)の第1副団長として参加しているルスラン・エデリゲリエフ気候問題担当大統領特別代表は、COP26で最も期待しているのはパリ協定6条に基づく炭素クレジットの取引ルールに関する合意と述べた。また、エデリゲリエフ氏は「多くの諸外国は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言したが、その方法は明確ではない」と述べ、各国が根拠のない野心の競争に陥っており、科学的データに基づかず、新技術の到来を期待しているだけと批判した(タス通信11月2日)。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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