10月のインフレ率も3%超、年率で52.1%上昇

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年11月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は11月11日、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表した。全国平均値は前月比で3.5%上昇、前年同月比(年率)で52.1%上昇した。2021年1月から10月までの累計は41.8%に達した(添付資料図参照)。

10月の前月比上昇率の詳細をみると、生鮮食品や観光サービスなど季節により価格が変動する財・サービスは前月比8.1%と高く、物価全体の押し上げ要因となった。地域によっては生鮮野菜などが9%~12%上昇した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは1.9%まで減速した。9月の財・サービスは3.0%だった。10月は、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は同3.2%上昇し、13カ月連続で3%台と高止まりしている。

費目別にみると、前月比の上昇率が大きかったのは、衣類・靴類(5.1%)と医療・健康(4.7%)。食品・飲料(酒類を除く)は3.4%で、特に野菜と果物類、パン、肉類、コーヒー、マテ茶、砂糖や菓子類の物価上昇が加速した(添付資料表参照)。

政府は物価上昇を抑制する目的で、10月20日に1,432品目の食料品や生活必需品の小売価格を90日間凍結した(2021年10月28日記事参照)が、10月のCPIにその影響は見られなかった。民間エコノミストらによると、11月の上旬は物価上昇に多少の減速がみられたものの、中旬には前月比3%台の物価上昇に達したもようだ。民間エコノミストらは、衣類などの値上げは主に季節的要因もあるが、輸入規制による品不足や、経済活動の再開や賃上げなどが価格を押し上げている可能性が高いと分析している。

政府は11月8日、医薬品などの価格を2022年1月7日まで凍結したが、この効果も限定的だ。11月と12月のCPIは約3%となる見通しだ。2021年のインフレ率は50%に達すると民間エコノミストなどはみている。

写真 価格凍結の値札が並ぶブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

価格凍結の値札が並ぶブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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