中銀が4回連続で利上げを実施、2008年以来の水準に

(チェコ)

プラハ発

2021年11月08日

チェコ国立銀行(中央銀行)は11月4日の定例金融政策会議で、翌5日付で政策金利を1.25ポイント引き上げて、2.75%とすることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同時にロンバートレート(債権担保貸付金利)、ディスカウントレート(割引率)も同様に1.25ポイント引き上げて、それぞれ3.75%、1.75%とした。

2021年6月23日以降(2021年6月25日記事参照)、連続4回目となった今回の政策金利引き上げでは、前回の0.75ポイント(2021年10月4日記事参照)をさらに上回る大幅な引き上げ幅になった。政策金利が2.75%に上るのは、2008年11月以来。

今回の決定について中銀は、国内外から生じている極めて強いインフレ圧力に応じたものと説明している。統計局によると、国内インフレ率は上昇を続けており、2021年9月には前年同期比で4.9%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに達し、2008年11月以降最高を記録した。

中銀は、同日発表した秋季経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、インフレ率は2021年末にさらに大幅に上昇し、冬の間は7%に接近すると予測している。急上昇の要因としては、国内外の製品価格高騰を反映したコアインフレ率の上昇、世界市場における農産物の価格上昇による食品値上げ、および燃料価格の高騰を挙げている。2021年通年のインフレ率予測は、前回8月に公表した夏季経済予測の3.0%から3.7%に上方修正した。また2022年初頭には、家庭用の電気・ガス料金の大幅な値上げによる統制価格の急上昇、また強いインフレ圧力を背景とした賃金上昇の加速が見込まれるため、同年通年のインフレ率予測を2.8%から5.6%とする大幅な上方修正を行った。ただし、2022年には金利引き上げが次第に効果を発揮し、さらに通貨チェコ・コルナ高にも支えられて、輸入価格の上昇が緩やかになることから、インフレ率は低下に転じ、2023年には中銀の目標値である2%に接近すると同行はみている。

一方、経済成長に関しては、2021年のGDP成長率を前回予測の3.5%から1.9%に、2022年は4.1%から3.5%にそれぞれ下方修正した。個人消費、企業、および政府の投資活動の活性化が予想されるものの、サプライチェーンの混乱の長期化が純輸出を押し下げ、2022年半ばまで成長抑制の要因となると中銀は分析している。

(中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 89a154406ce581a7