中銀が政策金利を大幅引き上げ、1.50%に

(チェコ)

プラハ発

2021年10月04日

チェコ国立銀行(中央銀行)は9月30日の定例金融政策会議で、翌10日1付で政策金利を0.75ポイントと大幅に引き上げ、1.50%とすることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同時にロンバートレート(債権担保貸付金利)を0.75ポイント、ディスカウントレート(割引率)を0.45ポイント引き上げて、それぞれ2.50%、0.50%とした。

政策金利の引き上げは今回で連続3回目だが、過去2回の引き上げ率はいずれも0.25ポイントと小幅だった(2021年6月25日記事2021年8月10日記事参照)。一度に0.5ポイント以上引き上げたのは1997年12月以来となった。

今回の決定について中銀は、8月に公表した夏季経済予測を大幅に上回るインフレ圧力を考慮した結果、金利引き上げテンポを速める必要性を認識したためと説明している。国内インフレ率は2018年以降1.7~3.7%の範囲で推移していたが、2021年6月から上昇が急勾配となり、8月には4.1%に達して、2008年12月以降最高を記録し(添付資料図参照)、中銀の8月のインフレ率の予測値3.1%を大幅に上回った。

中銀は、インフレ率上昇の外的要因として、原料・部品サプライチェーンの寸断による供給不足と、世界的な工業製品の需要増大を挙げており、電気やガスの価格上昇とともに、2021年後半から2022年にかけての消費者物価をさらに押し上げると予想している。また、国内では、住宅費や、新型コロナウイルス感染状況の改善とともに再開したサービス部門の価格高騰がコアインフレ率上昇の圧力となっている。食品、ガソリン価格も上昇傾向にあり、家庭用電気代、ガス代も秋季に大幅に引上げられることが予想されている。

次の定例金融政策会議が開催される11月以降の金利引き上げに関して、中銀は、今後のマクロ経済の動向や秋季経済予測をみて判断するとしている。

(中川圭子)

(チェコ)

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