カスティージョ政権2回目の内閣信任決議案を僅差で承認、与党は党内分裂を露呈

(ペルー)

リマ発

2021年11月08日

ペルー議会は11月4日の本会議で、10月6日に発足したミルタ・バスケス・チュキリン首相内閣(2021年10月8日記事参照)の信任決議案を賛成68票、反対56票、棄権1票で承認した。ペドロ・カスティージョ大統領にとって2回目となる内閣信任決議案は、前回より賛成票が5票少なく、反対票が6票増え、過半数の66票をかろうじて上回るかたちとなった。与党ペルー・リブレ(自由ペルー:PL)党内でも、ブラディミール・セロン党首の兄弟であるワルデルマル・セロン議員や前首相のギード・ベジード議員をはじめとする16議員が反対票を投じるなど、意見の相違を露呈。筆頭野党フエルサ・ポプラール(人民勢力:FP)党所属の全24議員の反対票と共に、前回の反対票数を上回る大きな原因となった(その他党派別の投票結果は添付資料表参照)。

今回の信任決議案で注目されたのは、野党各党から就任の是非が問われていたルイス・バランスエラ内相の処遇だ。同相は、1984年から2012年にかけてペルー国家警察に所属していたが、1993年に一度、懲戒免職処分を受けて離職しているにもかかわらず同年に再び復職しており、さらに在職中に150回に上る処罰を受け、昇進試験に一度も合格せずに昇格していた。また、同相は弁護士としてもPL党の顧問弁護士を務めているものの、内相として現在、汚職疑惑で捜査の対象となっている同党とセロン党首に関する捜査機密情報のアクセス権を有する点も問題視されていた。さらに、麻薬の原料となりえるコカの葉の栽培根絶運動にも反対していたため、コカの葉生産者との癒着も疑われていた。最終的には、大人数での会合が禁止された祭日の10月31日「クリオージョ音楽の日(Día de la Canción Criolla)」に自宅で祝賀会を開いたことから、バスケス首相によって更迭され、後任には元最高裁検事でカスティージョ大統領の選挙チームにも所属したアベリーノ・トゥリフォン・ギジェン・ハウレギ氏が任命された。

議会承認は得たものの、長期化する鉱山地域における社会争議問題や運送業界によるスト突入問題など国内問題は山積しており、新内閣も荒波の中の船出となる。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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