中銀が政策金利を5.00%に引き上げ、2017年以来の高インフレ警戒

(メキシコ)

メキシコ発

2021年11月15日

メキシコ中央銀行は11月11日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、5.00%とすると発表した。6月24日の政策金利決定会合(2021年6月30日記事参照)から4回連続の0.25ポイントの利上げとなる(添付資料図参照)。中銀はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で「生産活動におけるボトルネックの存在、消費刺激策、財の消費への偏向、食料やエネルギー価格の上昇、サービス産業の活動再開などにより、世界的にインフレは上昇傾向にある」とし、「インパクトは一時的なものとみられているが、いつまで続くのかが不透明であり、幅広い製品に影響を与え、その規模も大きく、価格形成プロセスやインフレ率見通しのリスクを増加させている」と、利上げ決定の理由を説明している。

中銀は2021年のインフレ率を6.8%と見込む

国立統計地理情報院(INEGI)が11月9日に発表したデータによると、10月の消費者物価上昇率は前年同月比(年間インフレ率)6.24%と2017年12月以来の高水準となった。年間インフレ率は2021年4月に6.08%に上昇した後、5月に5.89%、6月に5.88%、7月に5.81%、8月には5.59%まで下がったものの、9月に6.00%と反転し、10月はさらに上昇した。10月の年間インフレ率の内訳をみると、コアインフレ率が5.19%で、食品などが主な押上要因となった財については6.58%と、前月に引き続き6%の水準を超えた。非コアインフレ率も9.47%と高く、原油価格の高止まりによりエネルギー価格が上昇(9.82%)しているほか、畜産物(11.98%)の価格も大きく上昇している。10月の生産者物価指数も前年同月比7.06%上昇しており、前月値から1.04ポイントも上昇した。

中銀は11日の発表で、2021年のインフレ率見通しを前回発表(9月30日)時より0.6ポイントも引き上げ6.8%とした(添付資料表参照)。ただし、中銀目標範囲(3%±1%)内に戻る時期については2023年第3四半期(7~9月)と変えておらず、前回発表(9月30日)時点と同様、2022年後半にはインフレは収束すると見込んでいる。

(注)コアインフレは、天候などによる価格変動が大きい農産品やエネルギー価格、政府の方針で決定される公共料金を除いた指数。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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