気候保護目標達成には8,600億ユーロの追加投資が必要と業界団体報告

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年11月02日

ドイツ産業連盟(BDI)は10月21日、ドイツの2030年と2045年の野心的な気候保護目標の達成に関する実現可能性調査の結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査によると、現在の気候政策は不十分で、気候保護法が定める2030年までに温室効果ガス(GHG)を1990年比で65%減とする目標は達成できず、現状のままでは同50%減にとどまるとの見方を示した。加えて、現行の2030年の目標を達成するためには追加で8,600億ユーロの投資が必要だとした(添付資料表参照)。また、カーボンプライシングやエネルギー価格、原材料価格の上昇により、2030年までに産業界にとって約150億~230億ユーロの追加負担が生じるとし、産業競争力を維持するには、特に影響を受ける業種に対し確実な支援措置が必要だと指摘した。

ドイツでは、2021年6月に気候保護法を改正、国内法で2045年までに気候中立(GHG排出量実質ゼロ)達成を定めている(2021年7月6日記事参照)。BDIは、気候中立達成にはエネルギーシステムや国際的なエネルギー供給、既存の建物や車両、インフラ、製造業の大部分の根本的な変革が必要としている。今回の調査でBDIは、2045年までの気候中立達成は非常に野心的な目標であるものの、原則的には技術上実現可能だと報告した。また、ドイツが社会的、経済的に破綻することなく変化に対応するため、エネルギー、交通、建築、工業の4分野の21の政策ツールなどを提案した。

ドイツでは、9月26日の連邦議会選挙(総選挙)以降、各政党による連立協議が行われている(2021年9月28日記事10月15日記事参照)。BDIは今後発足する新政権に対し、特に電力や水素、充電インフラの大規模な拡大と新たな整備、再生可能電力・エネルギー、電気自動車や鉄道網への投資の加速のための刺激策が必要不可欠だとした。資金面での刺激策だけでなく、計画立案や承認手続きの合理化と、迅速な実施が重要だとしている。

BDIのジークフリート・ルスブルム会長は「われわれにはもう時間がない。気候目標の達成に関する基本的な政策的決定が遅すぎる。ドイツは今、産業立地の将来性を確保するため、歴史的かつ迅速な経済プログラムを伴った大きなスタートを切ることが必要だ」と危機感をあらわにした。

同調査は、BDIと米国ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に加え、約80の企業や経済団体から総計150人以上の専門家が合同で、2021年3月から10月にかけて行ったもの。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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