トヨタ、米ケンタッキー工場に4億6,100万ドルの新規投資発表、州政府は税優遇措置適用

(米国)

ニューヨーク発

2021年11月08日

トヨタは10月29日、米国ケンタッキー州のジョージタウン工場の生産能力増強と人材確保などに向け、4億6,100万ドルの新規投資を行うことを発表した。同工場は1986年に操業を開始した米国初の生産拠点で、総床面積は同社の拠点で世界最大。現在は乗用車「カムリ」「カムリハイブリッド」のほか、スポーツ用多目的車(SUV)「RAV4ハイブリッド」や「レクサスES」「レクサスESハイブリッド」など、年間約55万台の車両と60万台のエンジンを生産している。

今回の新規投資には、電動車両にも対応する生産体制を整備する高度な製造設備とテクノロジーの導入や、製品構成の増加に備えるパワートレイン生産ライン拡張などが含まれる。また、今回の発表では、2017年から同拠点で製造を開始した「レクサスES」と「レクサスESハイブリッド」の生産拠点を次回のモデルチェンジ前に日本に移管する一方で、2023年に水素を動力とする大型商用トラック用の燃料電池モジュールの組み立てを開始する(2021年8月27日記事参照)など、柔軟性を高めて市場のニーズに対応する考えも示した。現時点で今回の新規投資と同社が10月18日に発表したバッテリー新工場設立との関係は明らかになっていない(2021年10月19日記事参照)。

さらに、雇用体制の強化にも力を入れる。現在の派遣社員1,400人を直接雇用に変更するほか、新規雇用でも直接雇用を取り入れ、優秀な人材確保に努める。ケンタッキー州政府は10月29日、投資促進と雇用の定着のため、トヨタに対し、同州雇用維持法(KJRA)によるプログラムと、その補足プロジェクトの適用を承認し、累積投資額や雇用拡大などの一定要件の下に、最大で累積2億1,250万ドルの税制優遇措置を提供すると発表した(州政府広報資料)。

(大原典子)

(米国)

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