GMがメキシコ政府に明確な再生可能エネルギー促進策を要求

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2021年11月22日

ゼネラルモーターズ(GM)メキシコのフランシスコ・ガルサ社長は11月19日、メキシコ財務幹部協会(IMEF)の年次総会におけるパネルディスカッションの中で、再生可能エネルギー発電を重視する法的枠組みや組織的枠組みがメキシコに存在しない場合、GMはメキシコにおける新たな投資を控えざるを得ないと警告した。メキシコ政府は、再生可能エネルギー発電自体に反対の立場ではないが、発電分野において国営企業である電力庁(CFE)を優先する姿勢から、民間の再生可能エネルギー発電事業者を不利な立場におく憲法改正案を国会に提出している(2021年10月4日記事参照)。

ガルサ社長は、2040年には世界の全工場での使用電力源を100%再生可能エネルギーにする政策をGMが打ち出していることを挙げ、「メキシコでその条件が整わない場合、メキシコはもはやGMにとって短期的、中期的な投資先となり得ない」とし、「今日の投資計画が実現までに5~7年の期間を要することを考えると、本来はメキシコで行うはずだった投資をカナダ、米国、ブラジル、中国、欧州など他地域に向ける必要が生じ、メキシコはもはや重要な投資先ではなくなる」と強調。「今がメキシコへの投資を決定する上でギリギリのタイミングだ」とし、メキシコ政府に明確な方針を示すことを求めている(現地紙「レフォルマ」など主要各紙11月20日)。

1社で自動車国内生産の2割強を占め、4工場で2万人を雇用

国立統計地理情報院(INEGI)が発表するデータによると、GMの新型コロナウイルス禍前の2019年の自動車生産台数は86万4,143台で、国内生産全体の22.7%を占める国内最大の自動車メーカーだ。メキシコに4工場を有し、合計で2万人以上を雇用する。2021年5月には、10億ドルを投じたフォードに続いて2番目となるメキシコでの電気自動車(EV)生産に向けた投資を発表しており、EV駆動部品のメキシコにおける生産開始も視野に入れている(2021年5月7日記事参照)。ガルサ社長は、地理的優位性、サプライチェーンの存在、多数の貿易協定、優秀な労働者など、メキシコの優位性を挙げているが、同社のグローバルな目標達成のためには、メキシコにおける再生可能エネルギー促進策が明確に定められなければならないとしている。

(中畑貴雄)

(メキシコ、米国)

ビジネス短信 0ef4a7699d82c7d1