ポーランドとベラルーシの国境の状況が悪化

(ポーランド)

ワルシャワ発

2021年11月18日

ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相は11月9日、下院の臨時会合で、ポーランドとベラルーシの国境の状況に関連する報告を行った。この中で同首相は、ベラルーシのルカシェンコ政権が、EUとの国境での行動をエスカレートさせているとした上で、不法に国境を越えようとする何百もの動きを、移民を用いた「ハイブリッド攻撃」と非難した。

ポーランド国際問題研究所(PISM)によると、ベラルーシ側が2,000~4,000人規模の移民をポーランドとの国境に向かわせ、身動きが取れなくなっている。PISMは、ベラルーシ当局が寒さなどの悪天候を利用して、移民たちをポーランド、さらにはドイツに入らせようとしていると指摘。また、中東などからの移民がベラルーシに来続けているため、今後数週間はベラルーシとの国境における緊張が続くと予測している。

ポーランドでは、9月2日に発令された、東北地方における非常事態宣言(2021年9月13日記事参照)はいまだに解除されていないが、これまで禁止されていた非常事態対象地域へのジャーナリスト立ち入りを、条件付きで許可する改正案が11月15日に閣僚会議で可決された。なお、悪化する国境の状況に対応するため、1万5,000人の兵士を配備した国境警備が強化されている。また、ポーランド政府は、ベラルーシとの国境沿いに長さ約180キロにわたり、高さ5.5メートルの壁を建設することを決定しており、2022年半ばまでの完成を目指す。

隣国リトアニアでも、ポーランド・ベラルーシ国境の緊張状態に備えるため、11月10日からベラルーシとの国境に非常事態宣言を導入した。また、ベラルーシを経由した移民の流入防止のため、イラク、シリア、イエメンの国籍の人は、トルコの空港からミンスクに飛ぶ航空機のチケットを購入することができなくなると伝えられている(2021年11月12日のポーランド現地メディアによる報道)。

EU理事会(閣僚理事会)も11月15日、ベラルーシによる移民を用いたEU国境への「ハイブリッド攻撃」に対応するために、これまで科してきた制裁の範囲を拡大することを決定した(2021年11月17日記事参照)。これにより、EUとの国境で、違法な移民の流入を促すルカシェンコ政権の活動を組織・支援している、より多くの個人および団体が制裁の対象となる。

ポーランド政府は、移民の人道的な状況の悪化を懸念しており、国際社会の協力を求めている。11月11日には、国連安全保障理事会でこの問題に関する非公開協議が行われ、ベラルーシを非難する欧米諸国による共同声明が発表された。

(今西遼香、ニーナ・ルッベ)

(ポーランド)

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