ポーランド、不法移民対策でベラルーシ国境地域に非常事態宣言を発令

(ポーランド)

ワルシャワ発

2021年09月13日

ポーランドのドュダ大統領は9月2日、東北地方に非常事態宣言を発令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、6日に同発令が下院議会で承認された。当該措置はベラルーシ経由で流入するイラクやアフガニスタンなどからの多数の不法移民への対処を目的としており、30日間発動される。

非常事態の対象地域は、ポーランドの東北に位置するポドラシェ県とルブリン県の合計183の町で、ベラルーシ国境付近の約3キロ圏内の地域だ。同地域での公共集会、交流会は禁止され、身分証明書を保持しない外出も禁止される。なお、対象地域の住民以外は同地域の訪問・滞在が禁止、対象地域に関する報道や写真の掲載も禁止となる。ジャーナリストなどの滞在も許可されていない。

さらに、ポーランド政府は9月8日、非常事態宣言下において影響を受けるとみられる業種を対象とした補助金計画法案を閣議決定した。対象地域の飲食店、ホテル、旅行代理店、ガイドなどは、非常事態発令前の3カ月(6~8月)の平均月収の65%が補助金として給付される予定だ。なお、補助金額は非常事態の発動期間である30日間で計算される予定だが、発動期間の短縮・延期が生じる場合は、調整される。

8月からベラルーシとの国境の緊張は非常に高まっており、ポーランド政府は9月6日、8月初めからだけでも約4,000人の不法移民がポーランドへの入国を試みていると報告している。8月23日には、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアの首相が「ベラルーシとの国境の緊急事態はベラルーシのルカシェンコ大統領によって計画された『ハイブリッド攻撃』で、大統領が意図的にポーランド、リトアニア、ラトビアに不法移民を送り込むことで、これらの国を揺さぶってといる」と共同で発表した。

また、EUの国境の安全を脅かす可能性があるため、他のEU加盟国の協力を促すと同時に、ベラルーシに対し、これ以上各国との関係を悪化させないこと、政治犯を開放すること、迅速に自由で公平な選挙を再実施することを求めていた。

なお、ポーランドとベラルーシの国境には有刺鉄線が設置され、国境警備員以外の軍隊の動員数が倍増されると発表されている。

(ニーナ・ルッベ)

(ポーランド)

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