IMF、アジア新興国地域の成長見通しを7.2%に下方修正、ASEAN主要5カ国も2.9%に引き下げ

(ASEAN、中国、インド、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマー)

アジア大洋州課

2021年10月18日

IMFは10月12日発表の「2021年10月世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、アジアの新興・途上国地域の2021年の実質GDP成長率を7.2%とする予測を発表。前回7月の発表よりも0.3ポイント引き下げた(添付資料表参照)。また、2022年の予測についても6.3%と、前回発表から0.1ポイント引き下げた。2021年の予測については、他の新興・途上国地域が予測を引き上げる中(2021年10月13日記事参照)、アジアのみが引き下げとなった。

IMFは、アジア地域の引き下げの要因について、経済規模の大きい中国で、公共投資が想定よりも小さいこと、中国・インド以外で新型コロナウイルスのパンデミック(感染爆発)の影響が強いことなどを挙げている。中国の2021年の予想は8.0%とし、前回より0.1ポイント引き下げた。他方、中国と並び同地域で経済規模の大きいインドは9.5%と予測し、前回発表から据え置いた。

ASEAN主要5カ国の成長予測は1.4ポイント減の2.9%

アジアの新興国・途上国地域の中で、ASEAN5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)を2.9%とし、前回予想から1.4ポイント引き下げた。前回7月の発表では5カ国それぞれの予測が公表されていないため、4月発表と比較すると、ベトナムが2.7ポイント引き下げの3.8%、マレーシアが3.5%(3.0ポイント減)、インドネシアが3.2%(1.1ポイント減)、フィリピンが同じく3.2%(3.7ポイント減)、タイが1.0%(1.6ポイント減)と各国いずれも引き下げられている。

なお、ASEAN5カ国については、世界銀行も9月28日、デルタ株による感染拡大の影響から、2021年の予測を4月発表の4.8%から3.4%に引き下げる予測を発表している(2021年10月7日記事参照)。

CLMではミャンマーが2桁のマイナス成長予想

CLM諸国については、感染拡大によるロックダウン措置がとられるラオス、カンボジアで、それぞれ2.1%(4月予測より2.6ポイント減)、1.9%(2.2ポイント減)となった。ミャンマーは、4月の予測から9.0ポイント減となるマイナス17.9%と予測し、政情不安や2021年6月以降の新型コロナ第3波の感染拡大の影響を受け、大きく引き下げられている。

(三木貴博)

(ASEAN、中国、インド、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマー)

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