シノバック製以外の新型コロナワクチン接種完了者にも追加接種開始、異種混合接種の研究結果発表も

(チリ)

サンティアゴ発

2021年10月14日

チリ政府は10月12日、中国シノバック製以外の新型コロナウイルスワクチン接種完了者に対しても、効力増強のための追加接種を開始した。チリでは8月11日からシノバック製ワクチンの接種完了者を対象とした3度目の接種を行っており(2021年8月11日記事参照)、10月11日までに382万1,814人が接種を完了している。今回新たに追加接種の対象となったのは、所定回数のカンシノ、ヤンセンファーマ、ファイザー、アストラゼネカ、ジェネリウム、モデルナ、シノファームのワクチン接種完了者で、臨床試験参加者や、国外でワクチン接種を行った者も含まれる。保健省は、所定回数のワクチン接種を終えた日が早い者から順に追加接種を行うと発表しており、使用するワクチンについては12日時点では、55歳以上がアストラゼネカ製、55歳未満がファイザー製としている。

チリ保健省は10月7日、ワクチン追加接種の有効性についての調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同調査は、16歳以上の新型コロナウイルス感染歴がないシノバック製ワクチンの接種完了者を対象に、アストラゼネカ、ファイザー、シノバックの3種のワクチンをそれぞれ追加接種し、接種から14日後の発症予防率と入院回避率について、追加接種を行わなかった層と比較したもの。シノバック製は不活化ワクチンだが、不活化ワクチン接種完了者に対し、ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)やメッセンジャーRNAワクチン(ファイザー)の追加接種を行った研究結果としては世界初の事例となる。追加接種者の発症予防率は、シノバック製の2回接種完了時は56%だが、アストラゼネカ製の追加接種で93%、ファイザー製で90%、シノバック製で80%とそれぞれ上昇した。保健省は、追加接種に使用したワクチンは年齢や性別によって種類が異なるため、この調査結果によってワクチン間の有効性の優劣を単純に比較することはできないと前置きしたうえで、これら3種のワクチンの追加接種は、ワクチンそれ自体の有効性を高め、新型コロナ感染発症と重症化の予防に寄与すると結論付けた。

(岡戸美澪)

(チリ)

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