ブラジルとアルゼンチンがメルコスール対外共通関税率10%削減で合意

(ブラジル、アルゼンチン、メルコスール)

米州課

2021年10月11日

ブラジル、アルゼンチン両政府は10月8日、メルコスールの対外共通関税率を10%削減する旨で合意したとブラジル外務省が明らかにした。

同国外務省によれば、ブラジルのカルロス・フランサ外相とアルゼンチンのサンティアゴ・カフィエロ外相がブラジリアで会談を行い、一部の例外品を除きほとんどの品目で対外共通関税率を10%削減する旨で合意した。例えば、これまで対外共通関税率が12%だったものは、10.8%となる。今後は、できる限り迅速にパラグアイおよびウルグアイの理解を得て、メルコスール決議をもって承認する。

この度の決定についてブラジル外務省は、メルコスール加盟国の国際競争力を高め、域内での生産強化に向けた重要なステップだと述べた。

メルコスールにおける対外共通関税率の引き下げについては、2021年3月26日に開催された、メルコスール創設30周年を記念した首脳会合で議題にあがり、ブラジルがその必要性を強く主張していた(2021年3月30日記事参照)。一方、アルゼンチンはこれまで、対外共通関税率の引き下げに後ろ向きの姿勢を示していた。アルゼンチンは、引き下げ率を一律に設定するのではなく、生産財の引き下げ率を大きくし、最終製品の引き下げ率を低くするなど、製品ごとに引き下げ率を差別化する旨を提案していた(2021年4月30日記事参照)。

10月8日付の現地紙「アジェンシア・ブラジル」によれば、ブラジル政府は、2021年末までに対外共通関税率を20%削減することを希望していたが、アルゼンチンの意向を受け、ひとまず10%の削減で合意した。

メルコスールの対外共通関税率は、一般的に税率が高いといわれている。ブラジル経済省は平均で13%と試算している。なお、世界銀行によると、2017年の一般関税率(MFN税率)の世界平均は8.51%で、アルゼンチンの平均MFN税率は13.68%、ブラジルは13.58%、ウルグアイは10.47%、パラグアイは9.94%と、いずれも世界平均を上回っている(注)。

(注)税率はいずれも単純平均。

(辻本希世)

(ブラジル、アルゼンチン、メルコスール)

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