世界のユニコーン企業、フィンテックが全体の2割

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月12日

米国の調査会社CBインサイツは9月30日、世界のユニコーン企業(注)数はこれまでに800社以上に達したとするレポートを公表したが(2021年10月12日記事参照)、ユニコーン企業の内訳を分野別にみると、フィンテックが最も多く、162社(構成比19%)となっている。

米国では、オンライン決済サービス「ストライプ」のほか、モバイル銀行を運営する「チャイム」は特にミレニアル世代を中心に支持され、急速に成長している。米国では新型コロナウイルス感染拡大の中で物理的な支店を持たないスマホのモバイルアプリだけで完結するデジタル銀行(ネオバンク)のサービスが成長しており、チャイムはネオバンクの代表企業として最大手となった。従来の銀行では口座を開設する費用や維持費などでさまざまな手数料がかかるが、同社は口座手数料などの費用を取らないことを特徴として顧客数を拡大してきた。また、雇用主から給与の振り込みがあった際に、利用者が実際に自身の口座から引き出せるようになる日を他行より1~2日早めに設定することができるようにするなど、消費者の利便性を高める手軽なモバイルバンキングサービスとして注目を集めている。次いで、インターネットソフトウエアおよびサービス139社(17%)、EC(電子商取引)事業のほか、企業が商品を直接消費者に届ける「D2C」に取り組む企業88社(11%)などの分野が目立つ。

米新興企業のエンブローカーによると、「ユニコーン企業」という言葉は、2013年ごろに起業家のアイリーン・リー氏が、急激に発展して成功を収めたスタートアップ企業を表す言葉として使い始め、当時のユニコーン企業の総数はわずか39社だった。その後、ユニコーンの地位を獲得するスタートアップ企業も増え、1億ドルを超える資金調達(メガラウンド)を得る企業も相次いでいる。CBインサイツによると、新型コロナウイルス禍でもユニコーン企業数は、2020年末から2021年現在までに48%増加しており、この現状が続けば、世界のユニコーン企業数は2022年までに1,000社を超えると推計している。

(注)企業評価額が10億ドル以上、かつ設立10年以内の非上場ベンチャー企業の総称。

(樫葉さくら)

(米国)

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