中銀が政策金利を4.75%に引き上げ、インフレ再燃リスクを懸念

(メキシコ)

メキシコ発

2021年10月05日

メキシコ中央銀行は9月30日、政策金利を0.25ポイント引き上げて4.75%とすることを発表した。6月24日の政策金利決定会合(2021年6月30日記事参照)から3回連続の利上げとなるが(添付資料図参照)、今回の会合では5人の理事のうち4人が引き上げに賛成し、最も多くの理事が利上げを支持した。

中銀はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2021年9月前半のインフレ率が年率5.87%(注1)、コアインフレ率(注2)は同4.92%であることに言及し「世界的なインフレ圧力と、生産部門のボトルネックの問題が引き続き影響を与えている」とし、「インパクトは一時的なものとみられているが、幅広い分野に多面的に影響があることやその規模の大きさを考慮すれば、価格形成プロセスやインフレ率の見通しにとってリスクとなり得る」ことを利上げ決定の理由としている。同時に、インフレ率見通しを引き上げ(添付資料表参照)、中銀目標(3%±1%)に近づく時期は2023年第3四半期(7~9月)となり、前回発表(8月31日)の2023年第1四半期(1~3月)より遠のいた。

インフレ率が低下傾向から一転、再上昇

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)が9月23日に発表したデータによると、9月前半のインフレ率は年率5.87%だった。インフレ率は年率で2021年4月に6.08%に上昇した後、5月(5.89%)、6月(5.88%)、7月(5.81%)と低下傾向を示し8月には5.59%まで下がったため、インフレは一服したとみられたが、9月前半に再び上昇したかたちだ。9月前半のインフレ率(年率)の内訳をみると、コアインフレ率が4.92%で、食品などが主な押し上げ要因となった財については6.27%と、2020年7月以降継続して5%を超えている。非コアインフレ率も8.86%で、原油価格回復に伴ってエネルギー価格が上昇(10.77%)しているほか、畜産物(11.15%)や野菜・果実(8.70%)の価格も大きく上昇している。

(注1)9月1~15日の消費者物価指数の前年同期比上昇率。

(注2)コアインフレは、天候などによる価格変動が大きい農産品、エネルギー価格、政府の方針で決定する公共料金を除いた指数。

(松本杏奈)

(メキシコ)

ビジネス短信 a66c477ff742cf8b