石油・天然ガス公社、水素実用化に向けたパイロットプロジェクトに着手

(カザフスタン)

タシケント発

2021年10月29日

カザフスタンの石油・天然ガス公社カズムナイガス(KMG)は、カーボンニュートラルを達成する一環として、水素活用の取り組みに関する覚書をフランスの産業ガス大手エア・リキードと締結した。両社は水素燃料の実用化に向けたパイロットプロジェクトに着手する(KMGウェブサイト10月12日)。

エア・リキードはガス事業を世界各地で展開しており、カザフスタンでは2018年にKMGと合資会社エア・リキード・ムナイ・テック・ガス(ALMTG、株式保有率:エア・リキード75%、KMG25%)を設立。同国北部のパブロダル石油コンビナートに水素製造プラントを建設し、コンビナートに石油精製過程で必要となる水素を供給している。

覚書にはパイロットプロジェクトとして、a.ALMTGが2022年3月末までにアティラウに移動式水素充填(じゅうてん)ステーションを設置し、アティラウ製油所の従業員を輸送する水素エンジン搭載のバスと軽自動車を購入する、b.2022年末までにガソリンスタンドに水素を供給し、アティラウに固定水素充填ステーションを立ち上げることなどが盛り込まれている。

カザフスタン政府は2060年までにカーボンニュートラルを達成するという目標に向け、二酸化炭素(CO2)を排出しない代替エネルギーの開発を進めている。再生可能エネルギー、原子力(2021年9月13日記事参照)と並び、水素エネルギーへの期待は大きい。

KMGは2031年までの低炭素開発計画を策定している。同計画では、2031年までにCO2排出量を160万トン(2019年排出量の15%に相当)削減する数値目標を設定しているほか、水素エネルギー研究所を設立し、水素をKMG施設内で使用する車両の燃料や化石燃料に代わる電力・熱エネルギー源として開発していく方針だ。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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