米USTR、違法木材に関するベトナムとの合意発表、履行監視の意向

(米国、ベトナム)

ニューヨーク発

2021年10月04日

米国通商代表部(USTR)は10月1日、1974年通商法301条に基づく、ベトナムからの木材輸入に対する調査に関して、同国と合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。合意に基づき、追加関税などの対抗措置は取らず、ベトナム政府による合意事項の履行状況を監視する。正式には後日、官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で公示する。

ベトナムから輸入される木材・同製品については、自然保護区で違法な伐採が行われているとして、トランプ政権下の2020年10月に調査を開始した(2020年10月9日記事参照)。USTRは調査開始に伴い、ベトナム政府と数カ月に及ぶ協議を続けていたという。なお、USTRは木材調査とともに、ベトナムの為替政策に関する調査も行っていたが、2021年7月に米財務省とベトナム国家銀行が合意に達したことから、同調査に基づく対抗措置は見送った(2021年7月27日記事参照)。

USTRのキャサリン・タイ代表はプレスリリースで「ベトナムは今後、インド太平洋地域と全世界に対して、違法木材に関する包括的な取り締まりの模範を示すことになる」と述べた。合意文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ベトナムは2020年10月に施行した「木材合法性証明システム」について、監視すべき事業者を規制対象に追加するなどの制度改定を行う。また、国内・国際法の違反を理由に押収した木材は廃棄または輸出元に返還するなど、サプライチェーンから排除することを約束した。そのほか、国内で伐採した木材の合法性を検査するとともに、違法伐採の疑いの強い国との間で情報交換や共同調査などで連携を強化する。

タイ代表は、合意後もベトナム政府との連携を深め、情報共有していく方針を示した。両国は、貿易投資枠組み協定(TIFA)に基づいて「木材作業部会」を設置し、合意の実施状況を監視する。USTRは、ベトナム政府の取り組みが不十分と判断した場合、301条に基づく措置を検討するとしている。

(藪恭兵)

(米国、ベトナム)

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