米英仏、韓国など9カ国、ワクチン・トラベルレーンの対象に
(シンガポール)
シンガポール発
2021年10月12日
新型コロナウイルスの政府タスクフォースは10月9日、ワクチン接種者を対象に相互に隔離なしの渡航を可能にする「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」について同月19日から、カナダ、デンマーク、フランス、イタリア、オランダ、スペイン、英国、米国の8カ国を対象国に含めると発表した。また、11月15日からは、韓国とのVTLを開始する。シンガポールは9月8日からドイツとブルネイについてVTLを開始しており、VTL対象国は合計で11カ国となる。
ワクチン接種者を対象としたVTLを利用するには10月19日から、VTL対象の1カ国または複数の国々に14日間連続で滞在している必要がある。VTLの利用者は10月19日から、PCR検査の回数をそれまでの4回から2回に削減。出発48時間前にPCR検査を受けるほか、空港到着時にPCR検査を受け、結果がでるまで宿泊先で待機する。シンガポールへVTLを使って入国する短期渡航者と長期ビザ保有者については事前申請が必要で、米国、英国など9カ国については10月12日午前10時から申請を受け付ける。また、韓国は11月8日午前10時から申請の受け付けを開始する(注1)。
新型コロナと共存するニューノーマルまで3~6カ月の可能性
一方、シンガポールでは8月下旬以降に感染者が急増しており、政府タスクフォースは9月8日から一部感染防止策を一部引き締めた後、9月27日から10月24日まで、集会できる人数を5人から2人に引き下げるなど感染防止策を一段と引き締めている(2021年9月27日記事参照)。政府タスクフォースは8月10日からワクチン接種者のみが飲食店内で食事ができるとしているが、10月13日からはショッピングモール、アトラクション、公営複合飲食施設(ホーカー)、コーヒーショップもワクチン接種者のみとする(注2)。
同国のワクチン接種率は83%(10月8日時点)。9月15日から60歳以上の高齢者や免疫機能の弱い人への3回目の接種(ブースター接種)を開始し、10月4日からブースター接種の対象を50歳以上へ、同月9日からさらに30歳以上へと接種対象を拡大している。
リー・シェンロン首相は同10月9日、国民向けのテレビ放送で、現行の規制を緩和し、新型コロナウイルスと共存する「ニューノーマル」の段階に至るまで、「少なくとも3カ月、もしかしたら6カ月かかる」可能性を指摘した。
(注1)VTLの入国手続きの詳細は民間航空庁(CAAS)の発表を参照。なお、VTLとは、対象国については相互で、隔離なしの渡航が、基本的に可能となるスキームのこと。
(注2)貿易産業省(MTI)は10月10日、ショッピングモールや大型商業施設へのワクチン未接種者の入場規制措置の導入まで、10月19日までの1週間の猶予を発表している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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