米国で民族・人種などに関する社会的葛藤がより顕著に、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2021年10月19日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは10月13日に発表した米国を含む17カ国・地域の分断に関する調査結果(注、2021年10月18日記事参照)に基づき、米国の特徴を分析外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

それによると、米国では分断の要因となる「支持政党の違い」「民族や人種の違い」「宗教の違い」「居住地域(都市あるいは地方)の違い」の全項目で激しい葛藤があるとする割合が高く、17カ国・地域の中央値を上回った。特に「支持政党の違い」が90%(中央値50%)、「民族や人種の違い」が71%(48%)と、17カ国・地域で最も高かった。「宗教の違い」は49%(36%)、「居住地域の違い」は42%(23%)だった。

人種別では、「支持政党の違い」を挙げたのは白人が93%と最も高く、ヒスパニック系84%、黒人82%だった。「民族や人種の違い」では、黒人が82%と最も高く、ヒスパニック系70%、白人69%。「宗教の違い」は黒人62%、ヒスパニック系56%、白人44%。「居住地域の違い」はヒスパニック系49%、黒人44%、白人42%だった。

米国で民族や人種の違いによる差別を深刻な問題として捉える割合は74%(深刻32%、極めて深刻42%)と、17カ国・地域の中央値67%を上回った。

支持政党の違いによる激しい葛藤は両党支持者で一致

支持政党別にみると、「民族や人種の違い」による激しい葛藤があるとする割合は、民主党支持者で82%、共和党支持者では58%と、民主党支持者がより強く認識しているという傾向がある。「宗教の違い」では民主党支持者56%、共和党支持者39%。「居住地域の違い」ではそれぞれ48%、38%と違いがみられたが、「支持政党の違い」では、各党支持者とも90%と同率になった。

米国が直面する問題について、国民が現状を認識してないと考える割合は、リベラル派民主党支持者が68%と最も高く、保守派共和党支持者(62%)、中道・リベラル派共和党支持者(54%)、保守・中道民主党支持者(52%)の順で続いた。人種別では、ヒスパニック系(61%)、白人(60%)、黒人(49%)の順で高かった。

(注)2021年3月12日~5月26日の調査の対象者はカナダ、ベルギー、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国、オーストラリア、日本、ニュージーランド、シンガポール、韓国、台湾の成人1万6,254人。米国は2月1~7日で対象者は成人2,596人。

(松岡智恵子)

(米国)

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