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米上下院、2022年度のつなぎ予算を可決、債務上限対応は先送り

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月01日

米国上下院は9月30日、2022年度予算(注1)に関し、2021年12月3日までのつなぎ予算案を可決した。つなぎ予算が成立しなければ、10月1日以降、政府機関の一部が閉鎖される予定だったが、直前での与野党合意となった。一方、当初はつなぎ予算と合わせて法案化されていた、連邦政府による債務上限凍結(2021年9月22日記事参照)については、共和党からの強い反対により上院で同法案が否決されたため、民主党はつなぎ予算のみの成立へと変更を余儀なくされた。

つなぎ予算は、政府機関のサービス継続に必要な人件費などの費用に加え、カリフォルニア州で起きた山火事などの被災者やアフガニスタンからの出国者への支援などを含むもので、2021年12月3日までの資金需要に対応するものとしている。

債務上限への対応は先送りに

一方、債務上限対応は喫緊の問題として残り続けている。現在、財務省は手元資金のみでやりくりしているが、ジャネット・イエレン財務長官は9月26日の議会証言で、「(手元資金は)10月18日で枯渇する可能性が高い」と述べている。また、議会予算局(CBO)も9月29日、10月末か11月初めごろに資金が尽きるとの予測を発表しており、債務不履行(デフォルト)リスクは増大している。

一方、債務上限対応に関する与野党協議は進んでいない。民主党が単独可決を目指す3兆5,000億ドル規模の投資計画への反発から、共和党は債務上限凍結への反対姿勢を崩していない。共和党は、勢力が拮抗(きっこう)する上院における債務上限凍結の可決について、民主党が財政調整措置(注2)を用いて単独で対応すべきとする。

しかし、民主党側は、3兆5,000億ドルの投資計画において既に財政調整措置を利用していることに加え、「債務上限に関して、長く複雑で難しい財政調整プロセスを経ることは、とてもリスキーだ」とする声が民主党上院院内総務のチャック・シューマー議員(ニューヨーク州)から上がるなど、その利用に否定的だ。民主党内部では、投資計画の規模が大きすぎるとの意見が上院の中道派議員などを中心に存在する。他方、上院で3兆5,000億ドル投資計画を通過させない場合、50人規模の民主党議員が、下院で審議中の超党派のインフラ投資計画法案(2021年8月11日記事参照)への投票を差し控えるとプラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州)が表明するなど、党内左派議員は投資計画の規模縮小に激しく反対している。

民主党指導部は、投資計画の規模縮小を通じて共和党の譲歩も引き出し、上院での成立を確実にしようとしていたが、党内調整の難航から、米下院民主党は9月30日に予定していたインフラ投資計画の採決を先送りした。

財務長官はデフォルトによる信用コスト上昇を指摘

仮に米国債がデフォルトに陥った場合について、イエレン財務長官は、金利の上昇や米国債の信用低下を通じて、「住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードでの支払いなど信用にかかわる購入のコストが、デフォルト後は全て上昇する」と述べ、警鐘を鳴らしている。高止まりする物価や連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げの示唆などの影響から、長期金利も最近上昇傾向になっており(2021年9月24日記事参照)、市場はやや不安定で新たなショックに脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。デフォルトを回避できるか、与野党の今後の調整に注意が必要だ。

(注1)米国の会計年度は前年10月1日から当年9月30日までとなっている。2021年度は2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間を指す。

(注2)上院では通常、法案可決にはフィリバスター(議事妨害)を抑え込むため、クローチャー(討論終結)決議に必要な60票の賛成が必要となる。ただし、歳出・歳入・財政赤字の変更に関する法案については、財政調整措置(リコンシリエーション)を利用し、過半数での採決が可能。賛否が50票同数の場合、議長を務める副大統領の1票で採決となる。なお、同措置は1会計年度につき1度のみの使用が慣例となっている。

(宮野慶太)

(米国)

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