タイ産業界の業況判断、6カ月ぶりに上向きに

(タイ)

バンコク発

2021年10月18日

タイ工業連盟(FTI)は10月12日、2021年9月のタイ業況判断指数(TISI、注)を発表した。同発表によると、9月の業況判断指数(回答企業数:1,411社)は前月比2.2ポイント増の79.0ポイントと、6カ月ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめた2021年7月を上回る水準となった(添付資料図参照)。

タイでは9月を通じて、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数は減少し、10月に入ってからは1万人前後の日が続いている。日系製造業へのヒアリングによると、クラスター発生による工場の操業停止なども8~9月ごろがピークで、徐々に稼働率が上がってきている。消費市場をみても、9月からは商業施設の営業やレストランでの店内飲食も再開され、経済・消費活動は回復してきている。ただし、FTIによれば、コンテナ不足と輸送料の高騰、半導体・集積回路不足といった問題は依然として解消されていない。また、一部地域での洪水により、食品の原材料なども不足しているという。

今後3カ月先の業況感を聞いたTISI見通しは、前月比2.1ポイント増の93.0ポイントと2カ月連続で上昇した。タイ政府はワクチン接種を拡大するとともに規制緩和を続けており、ワクチン接種した者の検疫隔離措置の短縮(2021年10月4日記事参照)、サンドボックス制度の拡大(2021年10月8日記事参照)といった観光客呼び戻しに向けた布石を打っている。11月以降に外国人観光客の往来の本格化が見込まれ、タイの主力産業である観光業の回復が期待されている。

写真 ラチャプラソン交差点、徐々に交通量が増加している(10月9日、ジェトロ撮影)

ラチャプラソン交差点、徐々に交通量が増加している(10月9日、ジェトロ撮影)

(注)TISI(Thai Industries Sentiment Index)は、FTIが加盟企業(製造業を中心とする45産業)に毎月行っている景況感に関するアンケート調査に基づく指数。当該月の現況と、3カ月先の見通しをそれぞれ聞いており、100を超えると「業況が良い」、100を下回ると「業況が悪い」を示す。

(北見創)

(タイ)

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