半導体不足による自動車産業への影響拡大も、2023年に収束見通す声

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月29日

調査機関のオートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)によると、半導体チップ不足による北米の自動車車両の累積減産台数は、10月22日時点で303万2,000台となった(オートモーティブニュース10月25日)。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年1~9月の生産実績1,247万5,069台と比較すると、24.3%に当たる車両が生産から消失したことになる。

半導体チップ不足による生産・販売減は、主要メーカーの収益を押し下げる結果となった(2021年10月6日記事参照)。ゼネラルモーターズ(GM)が2021年10月27日に発表した第3四半期(7~9月)の決算報告によると、北米における税引き前利益は前年同期比51%減と大幅に減少した。投資家に宛てた書簡の中で、GMは「半導体(不足)の圧力が続いているため、今四半期は困難だった」と記している。また、フォードは第3四半期に北米での売上高が5.0%減、純利益が24.3%減と落ち込み、ステランティスは売上高が16%減少した。ステランティスのリチャード・パルマ―最高財務責任者は「チップ不足のレベルは、8月に市場に対して語った際の予想よりもわずかに高かった」と述べるなど、半導体不足の長期化による影響を示唆した(ロイター10月28日)。

一方で、収束時期を見通す声も聞かれ始めている。GMのメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者は「(チップ不足は)来年まで長引くだろうが、今のところ、2022年の後半には状態は大きく改善するだろうと感じている」と述べた(ブルームバーグ10月28日)。GMは2021年11月から、一部生産を停止していた北米の工場を全て再開する予定だ。フォルクスワーゲン米国法人のスコット・キーオ最高経営責任者は「間違いなく、この(チップ)不足は2022年、少なくとも同年の後半までは続くだろう」とみている(ロイター10月19日)。自動車専門調査機関のLMCオートモーティブは、2022年には生産と在庫が回復し、2023年には通常に近づく、との見方を示している(オートモーティブニュース10月18日)。

(大原典子)

(米国)

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