山東省の電力不足に伴う制限にジェトロが日系企業の意向受け要望書提出

(中国)

青島発

2021年10月20日

中国各地で発生している電力制限の動きは山東省でも生じている。ジェトロはこの状況を踏まえ、省内の日系企業から提起された意見を取りまとめた要望書を10月15日に山東省側に提出した。

山東省内の電力制限の要請は、中秋節(9月19~21日)前後を境に、各地で目立ち始めた。当初、散発的かつ唐突に発生していたが、中秋節に続く国慶節(10月1~7日)後も継続している。省内の複数の地方政府は節電を呼び掛ける通達を出している。省都・済南市の発展改革委員会は9月26日付で節電を呼びかける文書を発出した。この文書では、電力制限の背景として、発電用石炭の供給不足や電力需給のアンバランス、発電機の故障・出力低下などを受け、省内の多くの地区で電力不足が発生しているとし、市民や企業などに節電の呼びかけを行った。

このような状況を踏まえ、ジェトロは制限による影響を受け、省政府への提言を希望する日系企業を募ったところ、10月11日までに56社から情報・要望が寄せられた。特に、日系企業が集積する青島市が32社と最も多く、煙台市、済寧市、威海市などがこれに続いた。

各地で求められている規制の内容はさまざまで、週3日の操業停止が求められる事例もある。一方で、特定の時間帯に一定の消費電力量までの抑制を求められている地域や、具体的な要請がない地域も存在する。

日系企業側の要望も多岐にわたる。特に多く見られたのは、(1)電力制限の程度は操業への影響が最小限となるよう配慮してほしい、(2)電力制限を要する場合は「1週間前」など事前に通知してほしい、(3)常時の通電を要する事業分野もあるため、業態・設備状況などに応じた柔軟な設定に配慮してほしいなどだ。

ジェトロはこれらの要望を山東省の関連部門に提起すべく、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)山東省委員会に要望書を提出した。国務院の会議で電力の市場取引価格の変動幅の調整措置(2021年10月15日記事参照)を発表しているが、省内ではその発表後も規制強化を図る動きも見られ、引き続き留意が必要な状況といえる。

(吉川明伸)

(中国)

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