英国、グリーンプロジェクトへの対内投資が進展

(英国)

欧州ロシアCIS課

2021年10月20日

英国のボリス・ジョンソン首相は10月15日、「グリーン産業革命のための10項目の計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の開始以来、約60億ポンド(約9,480億円、1ポンド=約158円)の民間からの対内投資を集めていると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

英国政府は、2020年11月に「グリーン産業革命」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2050年までの温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロの目標達成に貢献する10項目の計画から構成され、政府による総額120億ポンドの投資と、最大25万人の雇用創出を計画している(2020年11月20日記事参照)。今回の発表では、既に58億ポンド強のグリーンプロジェクトへの対内投資が確保され、少なくとも5万6,000人の雇用を伴うとしている。

対内投資の主な内訳をみると、洋上風力発電への投資額は2021年だけで6億5,000万ポンド以上に上り、ゼロエミッション車への移行にも9億ポンド以上が投じられる。具体事例としては、日産のバッテリーサプライヤーであるエンビジョンAESCによる電気自動車(EV)向けバッテリー製造(2021年7月2日記事参照)への4億ポンド以上の投資や、イタリアの石油ガス会社ENIによる洋上風力への4億ポンド以上の投資が挙げられている。

この投資実績について、ジョンソン首相は「これらの数字は、環境に配慮することが英国全体で質の高い雇用を創出することを意味する証拠だ」と述べた。また、クワシ・クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は「英国は、世界的なグリーン産業革命を十分に活用しており、新しいグリーン産業を確保するための競争の中で、企業や産業がいかに競争力を維持し、国際的な投資を誘致できるかを世界に示している」として、投資が進んでいる状況を評価した。

また、企業も英国の投資環境を評価している。ENIのクラウディオ・デスカルツィ最高経営責任者(CEO)は「私たちは、磁気核融合などの画期的な技術ソリューションを開発している。私たちの脱炭素戦略は実用的かつ具体的で、英国を戦略的な投資対象国と見なしている」と述べた。

英国政府は10月19日にはロンドンで、英国のグリーン産業へのさらなる外資の呼び込みを目的に、グローバルインベストメントサミットを開催した(2021年10月20日記事参照)。

(菅野真)

(英国)

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