政府がデジタル貿易に関する5項目の計画発表

(英国)

ロンドン発

2021年09月30日

英国政府は9月20日、同国のデジタル産業発展に向け、デジタル貿易に関する5項目の計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。成長産業として存在感を高める同産業を支援することが狙い。

9月20日から5日間にわたって開催されたロンドン・テックウイーク初日の基調講演で、アン・マリー・トレビリアン国際通商相は今回の計画に言及し、主に英国企業のコスト削減や官僚主義からの脱却、データ保護の強化を目指す方針を示した。

同計画が取り上げる5つの項目と主な内容は次のとおり。

  1. 開放的なデジタル市場:英国の消費者や企業が他国のデジタル市場へアクセスし恩恵を受けられるようにする。
  2. データの越境移転:信頼できる越境データフローを確保し、個人データ保護の水準を維持しつつ、企業が国際的なビジネスをより簡単でより安価に行えるようにする。
  3. デジタル貿易における消費者と企業の保護:知的財産の(保護の)強化。
  4. デジタル貿易システム:官僚主義から脱却し、貿易をより簡単に、安く、速く、安全に行うことを可能にすべく、デジタル通関手続きや電子契約、ペーパーレス貿易など、最新のデジタル貿易システムの開発と採用を促進する。
  5. 国際的な協力とガバナンス:国際的なパートナーとの自由貿易協定(FTA)を通じて、デジタル貿易に関するグローバルな協力関係を確立し、2021年に英国が議長国を務めるG7とWTOでの発言力を利用して、世界貿易のルールを現代に即したものとする。

トレビリアン国際通商相は、2030年までに世界の高所得者の約60%がアジアに集中するとの予想を紹介し、「アジア太平洋とのデジタル貿易網を通じて、英国企業が世界最大かつ最も急速に成長している市場で成功できるよう支援していく」と述べた。なお、英国政府は2021年6月28日に、シンガポールとのデジタル経済協定(DEA)の締結に向けた交渉を開始している(2021年7月1日記事参照)。

(島村英莉)

(英国)

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