下院選、与党「統一ロシア」が議席減らすも、3分の2を守る

(ロシア)

モスクワ発

2021年09月28日

ロシア中央選挙管理委員会は9月24日、17~19日に行われた下院選挙の公式結果を発表した(添付資料表参照)。与党「統一ロシア」が324議席を獲得、改選前から10議席減らしたものの憲法改正に必要な3分の2の議席を維持した。共産党と「公正ロシア・真実のために」が議席を増やしたほか、2020年3月に設立された新党「新しい人々」が比例代表で5.32%の票を獲得して13議席を確保した。

連邦通信・情報技術・マスコミ監督局(ロスコムナドゾル)は選挙に先立ち、野党勢力指導者で収監中のアレクセイ・ナワリヌイ氏とその協力団体である「反汚職基金(FBK)」が呼び掛けていた「スマート投票」活動(注)に対し、ウェブサイトの閉鎖やアプリのブロックなどを行った。当局の取り締まりにもかかわらず、同活動は9月15日に実施され、FBKが推薦する共産党137人、自由民主党48人、「祖国」20人、「ヤブロコ」10人、「新しい人々」5人、「環境(緑)党」2人、「共産党主義者党」1人、「成長党」1人、無所属1人への投票が呼び掛けられ、うち15人が当選した(BBCロシア2021年9月15日、ラジオ・スボボダ9月24日)。

下院選挙に合わせ、モルドビア共和国、トィバ共和国、チェチェン共和国、ハバロフスク地方、ベルゴロド州、ペンザ州、トベリ州、トゥーラ州、ウリヤノフスク州の9つの連邦構成体首長を選ぶ地方選挙も同時に行われた。

ハバロフスク地方知事選では、2020年7月にプーチン大統領によって解任されたセルゲイ・フルガル前知事に代わって知事臨時代行を務めていた自由民主党所属のミハイル・デグチャリョフ下院議員(2020年7月22日記事参照)が得票率56.77%で知事に選出された。

ウリヤノフスク州知事選では、セルゲイ・モロゾフ前知事の辞表提出により知事臨時代理を務めていた共産党のアレクセイ・ルスキフ氏(2021年4月21日記事参照)が83.35%の得票で知事に選出された。

トゥーラ州では、プーチン大統領に近い存在とされる現職のアレクセイ・ジューミン氏(無所属)が再選されたほか、それ以外の6つの連邦構成体では、統一ロシアに所属する現職または知事臨時代行が当選した。

写真 投票所の様子(ジェトロ撮影)

投票所の様子(ジェトロ撮影)

(注)統一ロシア以外の政党への投票を促すことを目的として、インターネット上やアプリを通じて各有権者へ推薦する小選挙区の候補者を提示する活動。比例代表では、統一ロシア以外の政党への投票を促した。

(菱川奈津子)

(ロシア)

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