東部経済回廊(EEC)でのターゲット産業投資、医療分野で増加

(タイ)

バンコク発

2021年09月08日

ジェトロがタイ投資委員会(BOI)から入手(9月1日)した情報によると、2020年の東部経済回廊(EEC)域内におけるターゲット産業(12分野)の投資は、申請ベースで231件(前年比2.1%減)、1,042億400万バーツ(9.0%減、約3,543億円、1バーツ=約3.4円)だった(注)。認可ベースでは235件(7.8%増)、963億5800万バーツ(51.1%減)だった。同年のBOI統計では、タイ全体のターゲット産業への投資は、申請ベースで821件、2,307億4,000万バーツ、認可ベースでは806件、2,168億3,000万バーツ(2021年2月16日記事参照)。この結果、申請・認可ともに、ターゲット産業への投資では、EEC域内向けがタイ全体のうち、件数で約3割、金額で5割近くを占めることが明らかになった。

EEC域内のターゲット産業別投資をみると、自動車・部品、電気・電子エレクトロニクスへの投資件数・金額が他分野より多い。申請・認可ともに前年同期比で大きく増加したのは医療分野だ。申請ベースで14件(2.0倍)、34億7500万バーツ(4.6倍)、認可ベースでも14件(40.0%増)、29億7,800万バーツ(87.0%増)だった。他方、防衛産業における投資はなかった。

EEC域内の外資投資について、投資額ベースに上位国・地域を見ると、申請ベースで日本が首位で504億5,500万バーツ(前年比76.1%増、件数89件)、中国が2位で218億3,200万バーツ(91.2%減、95件)、台湾が3位で92億1,100万バーツ(28.4%減、31件)となる。認可ベースでは中国が首位で484億9,000万バーツ(20.2%減、109件)、日本が2位で384億3,600万バーツ(25.5%減、102件)、台湾が3位で108億4,300万バーツ(55.7%減、43件)となる。申請・認可ともに、投資額は前年比で減少傾向にある中で、2020年の日本の申請額が前年比で大きく伸びている点が注目される。日系企業によるEEC域内で認可された大型投資案件では、チョンブリ県の電気自動車(BEV、HEV)とその部品の製造案件、ラヨーン県の一般自動車とその部品の製造案件がある。

(注)タイの新たな育成対象となる産業を「ターゲット産業」とし、対象業種は、医療、バイオテクノロジー、デジタル、航空、自動システム・ロボット、防衛、人材開発・教育、電気電子・エレクトロニクス、石油化学・化学、農業・食品加工、自動車・部品、観光の12分野。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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