WILLER、シンガポールでオンデマンド型のバス・シェアリングサービス展開へ

(シンガポール、日本)

シンガポール発

2021年09月22日

大手高速バス運行会社のWILLER(ウィラー、本社:大阪市)は、10月中にシンガポール都心部の一部地区で、オンデマンド型の定額乗り放題シェアリングサービス「mobi(モビ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を開始する。同社は6月に京都府京丹後市、7月には東京都渋谷区でこのサービスを開始しており、日本以外で展開するのはシンガポールが初めてとなる。

WILLERのシンガポール子会社WILLERS(ウィラーズ)によると、同社はまず在留邦人をメインターゲットに、都心部オーチャード周辺の日本人が多く住むエリアで同シェアリングサービスを開始する。利用は会員制で、専用アプリを通じて呼び出すと、エリア内に100カ所以上ある最寄りの仮想バス停に平均10~15分で車両が到着する。乗車料金は月定額料金。家族で利用する場合、1人目は月75シンガポール・ドル(約6,075円、Sドル、1Sドル=約81円)、家族2人目以降は1人当たり月15Sドルとなる。

画像 Mobiのアプリイメージ、シンガポールでは英語と日本語の表記(WILLERS提供)

Mobiのアプリイメージ、シンガポールでは英語と日本語の表記(WILLERS提供)

バスを配車する際の最適ルートを割り出すベースとなるAI(人工知能)ルーティングを開発したのは、シンガポールを本社とするライドシェアリングのスタートアップのSWATモビリティ。WILLERSは2021年1月19日に同社と、地域密着型のオンデマンドでのシェアリングサービスの共同開発で提携関係を結ぶと発表していた。

WILLERSは今後、シンガポール国内で提供するエリアを順次拡大していく計画だ。また、ベトナムや台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアへの展開も視野に入れている。同社の渡辺浩行シニアマネジャーはジェトロのインタビューに対し、「シンガポールは公共交通が整っているものの、自宅周辺のラストワンマイルに関しては交通が不便な場所もある。(新型コロナウイルス流行に伴い)テレワークが増えたことで、自宅から2キロの生活圏内にいる時間が増えた。こうした暮らしや働き方の変化に対応して、日々の移動を快適にするような、新しい価値をご提供したい」と語った。

WILLERSは2019年10月からシンガポール都心部の植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」で、オンデマンド型の自動運転シャトルバス「オート・ライダー」の運行を開始(2019年12月27日付地域・分析レポートその1その2参照)。2020年12月には同国西部ジュロンの公園「ジュロン・レイク・ガーデン」でも自動運転シャトルバスの実証実験を開始している。

(本田智津絵)

(シンガポール、日本)

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