東方経済フォーラム、日ロが脱炭素分野で協力文書締結

(ロシア)

モスクワ発

2021年09月14日

ロシア・ウラジオストクで9月2~4日、東方経済フォーラムが開催された。2020年は「新型コロナウイルス禍」により中止されたため(2020年6月22日記事参照)2年ぶりの開催となった。主催者によると、前回の2019年と比べて参加者数が半分以下になったものの、フォーラム内で締結された文書の数とその事業規模は同年実績を上回ったという。

主催者が9月6日に発表したフォーラム開催結果によると、今回は58カ国から4,000人以上が参加した。2019年の65カ国・8,500人以上(2019年9月20日記事参照)と比べて参加者数が半分以下に減少した。

フォーラム内で締結された文書は380件、事業規模は金額にして3兆6,000億ルーブル(約5兆4,000億円、1ルーブル=約1.5円)と、2019年の実績を上回る結果になった。外国の組織・企業が関与した締結文書は24件で、最も多かったのが中国関係の9件、次いで日本関係が6件だった。しかし、ジェトロが公開情報を基に調べたところ、日本関係は7件確認できた(添付資料表参照)。持続可能なエネルギーとされる再生可能エネルギー、水素、燃料アンモニアや、カーボンリサイクル分野での協力のほか、メタノール燃料船建造など脱炭素に関わる文書締結が目立った。

9月3日には「日露ビジネスセッション」がオンライン形式で行われ、a.北極圏開発、b.極東における医療、農業、都市整備、c.グリーン・気候変動の3分野における協力について、日ロ双方の企業幹部から報告が行われた。

外国首脳として、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領とモンゴルのオフナー・フレルスフ大統領が、9月3日にウラジーミル・プーチン大統領が出席した全体会合にオンラインで参加した。同会合には、中国の習近平国家主席、インドのナレンドラ・モディ首相、タイのプラユット・チャンオーチャー首相も事前録画したビデオで参加した。

フォーラムの期間中、ウラジオストクにある日ロ合弁のマツダ・ソレルスのエンジン工場でシリンダーヘッド生産ライン立ち上げ式典が9月2日に行われた。プーチン大統領がオンラインで式典に立ち会った(同社発表9月2日)。

このほか、飯田グループホールディングスが、林業大手RFPグループへの資本参加に関して交渉中であることを9月7日に明らかにした。良質で安価な住宅用木材の安定的な調達が狙い。RFPグループ幹部によるフォーラム内での関連発言が、当地で報じられたことを受けて発表した。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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