カスティージョ大統領が初の国民向け演説

(ペルー)

リマ発

2021年09月09日

ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は9月6日に、国民向けに初の単独全国放送演説を行った。演説冒頭では、8月27日の議会において同政権の内閣とその政策方針に対する信任決議案が承認された(2021年8月30日記事参照)ことへの謝意を表明し、今後、各省庁より具体的な政策のスケジュールが発表される、と語った。また、就任後40日間の同政権の取り組みについても、国民のために働いてきたことを強調し、6分間という短いメッセージの中で、以下7つのポイントについて述べた。

  1. 現政権の最優先課題は経済の再活性化で、そのため9月13日から1,300万人の成人国民を対象に1人当たり350ソル(約9,450円、1ソル=約27円)の給付金を支給する。
  2. 新たに4万の雇用を創出するため、50億ソルの予算を投入する。
  3. 「新型コロナウイルス禍」で料金が高騰しているガス(LPG)について「燃料価格安定化基金(FEPC)」の対象とする大統領令を発令し、料金を低減させる。
  4. 全国において26万件の臨時雇用創出のため2億9,900万ソルの予算を投入。
  5. 2021年末までに4億ソルに上る公共事業パッケージの実行。
  6. 医療と教育を中心とした52の投資プロジェクト(1,140億ソル規模相当)の推進による社会インフラ格差の是正。
  7. 新型コロナウイルス対策として、ワクチン接種の推進により9月中に接種対象者の50%の接種完了を目標とする。また、336の医療用酸素施設を設置する。ロシア政府との間では「スプートニクV」のワクチンの製造工場を国内に設ける方向で調整を行っている。

今回の初の国民への大統領メッセージの背景には、これまで具体的な政策を提示できていなかった政権への不信感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられている。一方で、いまだに確定しない中央準備銀行(BCR)人事や、テロ組織との関与が疑われるイベル・マラビ労働雇用促進相問題などに言及しなかった点について、野党各党派からは批判の声が上がっている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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