英政府、北アイルランド向け食品移送の緩和期限をさらに延長

(英国、EU)

ロンドン発

2021年09月09日

英国のデイビッド・フロスト内閣府国務相は9月6日、グレートブリテン島から北アイルランド向けの食品移送手続き緩和措置などを継続する旨の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。声明では、英国とEUにさらなる議論の余地を与え、事業者に確実性と安定性を与えるため、緩和措置を含む現在のアイルランド・北アイルランド議定書の運用を継続するとしているが、期限については触れなかった。また、英国政府は9月7日付で事業者向けの各種ガイダンスを更新し、緩和措置の終了時期の記載を削除している。

フロスト国務相の声明を受け、欧州委員会も9月6日付で声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。欧州委の声明では、緩和措置継続を含めた同議定書の現在の実施状況に関するフロスト国務相の声明について、留意するとした。また、欧州委が(英国がEUの合意を経ず単独で緩和措置を9月30日まで延長する声明を出した)3月以来、英国政府による国際法違反(2021年3月5日記事参照)への義務不履行手続きの権利を留保しているとしつつも、現時点では法的措置を講じる考えがないことを表明している。さらに、議定書は離脱協定の一部として英国とEUの間で合意したもので、欧州委は、議定書の運用をめぐる諸問題に対し、長期的で柔軟性があり現実的な解決手段を特定することに焦点を当て、英国との建設的な議論を継続するとしつつも、議定書の再交渉には応じないとしている。

グレートブリテン島から北アイルランドへの物品移送をめぐっては、英国のEU離脱移行期間終了後からさまざまな緩和措置が取られており、2021年9月30日にその期限を迎えることになっていた(2021年1月7日記事参照2021年3月9日記事参照2021年7月1日記事参照)。また、7月に英国政府が公表した文書では、議定書の変更に関する交渉への意向が示されていた(2021年7月26日記事参照)。

(飯田俊平)

(英国、EU)

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