米有識者・団体、台湾のCPTPP加入について、バイデン政権に支援を促す

(米国、台湾、中国)

ニューヨーク発

2021年09月27日

台湾による、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加入申請(2021年9月27日記事参照)を受けて、米国の有識者は、バイデン政権に対して台湾への支援や米国の加入検討などを提言している。

米台ビジネス評議会(USCBC)は、台湾はWTOやAPECの参加メンバーとしてCPTPPにも加入する権利を有するとして、加入申請を歓迎する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。評議会のルパート・ハモンド=チェンバース会長は「中国の加入申請は、台湾の申請とは関連付けられるべきではない。申請は、CPTPP参加国により、純粋な経済メリットに基づき、中国の政治・軍事的な威圧や強制から離れたかたちで、検討されるべき」と述べている。また、同評議会は、バイデン政権に対して、台湾の加入を支援することに加え、米国がCPTPP加入するために議会と通商政策に関する合意を形成することを要請している。

ハドソン研究所日本部のライリー・ウォルターズ副部長は「台湾はCPTPPのルール水準を満たすことは比較的容易な一方、CPTPP参加国が台湾の加入を認めることは政治的に困難」と指摘する。ウォルターズ副部長は、台湾の加入はサプライチェーンの多角化という点で有意義として、(米国と)良好な関係にあるCPTPP参加国に台湾の加入を促すことができるかもしれないと助言する。

インディアナ大学のアダム・リフ准教授は、台湾の加入申請を踏まえ、米国のCPTPP加入検討を求めるコメントを行っている。日本がCPTPPの議長国を務める2021年は、他の参加国が台湾との建設的な対話を行う好機と述べ、日米台の連携を強化するCPTPP加入を後押しすべきと主張している。またリフ准教授は、日本の政治的抵抗を軽減するために、台湾当局は日本食品の輸入規制(注)を撤廃することを提言している。

中国との関係について、ブルッキングス研究所のライアン・ハス上級アドバイザーは、中国と台湾がWTOとAPECで協調しながら加盟したことを踏まえ、中国が台湾より先にCPTPPへの道を歩むことになれば、大幅な後退につながることを懸念する。また、台湾の加入には、中国の加入に支持表明するCPTPP参加国から支持を得ることが重要とした。前出のウォルターズ副部長は、中国抜きで台湾を受け入れることはできず、中国と台湾がパッケージで議論される可能性を指摘している。

米議会では、共和党議員を中心に、米台関係の強化を目的に、両者間で自由貿易協定(FTA)締結を求める声が出ている。シカゴ国際問題評議会によると、米世論の65%が台湾の国際組織への参加を支持しており、米台FTAを支持する割合は57%に達する。

(注)台湾は2011年3月26日以降、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県で生産、製造された食品の輸入を禁止し、他の輸入についても規制を有する。詳細は農林水産省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますジェトロウェブサイトを参照。

(藪恭兵)

(米国、台湾、中国)

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