カナダ・オンタリオ州、新型コロナのワクチンパスポート導入発表

(カナダ)

トロント発

2021年09月02日

カナダ・オンタリオ州のダグ・フォード州首相は9月1日、新型コロナウイルスのワクチンパスポートを同月22日から導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、詳細を明らかにした。フォード州首相はこれまで、ケベック州(2021年8月11日記事参照)やブリティッシュ・コロンビア州、マニトバ州などワクチンパスポート導入を先行する州に対して、同制度は社会の分断を生じる恐れがあるとしてオンタリオ州での実施可能性を否定してきたが、デルタ型変異株を中心とする感染第4波の到来を受けて導入に踏み切った。

本制度は、マスクを常には着用できない「(感染)リスクの高い」屋内スペースを対象としており、レストランでの店内飲食や、スポーツジム、劇場などを利用するには、14日前までのワクチン接種完了の証明と写真付き身分証明書が必要となる。感染履歴や検査での陰性証明は代替にはならない(注)。一方、食料品店のように生活に必要不可欠な小売店や、医療施設、ヘアサロン、礼拝所などには適用されない。健康上のリスクがあってワクチン接種を受けられない人は医師の診断書を代替として利用でき、ワクチン接種の対象ではない11歳以下の子供は免除される。

10月22日にはスマートフォンに対応したQRコードによる証明に移行する予定で、既にワクチンパスポートシステムを導入している他州での利用や、連邦政府が外国旅行用に準備しているシステムとも最終的には統合されるという(CBCニュース9月1日)。

カナダでは、連邦政府職員や輸送業界の従業員、航空機や州間を移動する列車の乗客などに対するワクチン接種の義務化を発表している(2021年8月19日記事参照)。また、トロント大学をはじめとする複数の大学で、医療上・人権上の正当な理由がないワクチン未接種者のキャンパス立ち入りを禁止(CTVニュース8月26日)するなど、ワクチン接種義務化の流れが強まっている。

カナダ公衆衛生庁の最新データ(8月21日時点)では、ワクチンの2回接種完了者は対象年齢の12歳以上の74.85%、1回接種済みを加えた割合は同82.72%となっており、世界の中でも高い水準で接種が進んでいる。

(注)9月22日~10月12日に冠婚葬祭に出席する人は、ワクチンパスポートに代えて、イベントの48時間前までに実施された検査の陰性証明を利用することが可能。

(江崎江里子)

(カナダ)

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