カナダ、連邦政府職員や飛行機、州間列車利用者などにワクチン接種義務化へ

(カナダ)

トロント発

2021年08月19日

カナダ連邦政府の国家財政委員会事務局は8月13日、早ければ9月末に連邦政府職員に新型コロナウイルスワクチン接種を義務付ける意向を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。併せて、遅くとも10月末までに連邦政府の規制対象になっている航空、鉄道、海上輸送部門の従業員にワクチン接種を義務付けるとともに、全ての民間航空機利用者、州間を結ぶ列車の乗客、クルーズ船など宿泊施設を備えた大型海洋船舶の乗客に対して、同様の義務化をする考えであることを明らかにした。

オマー・アルガブラ運輸相は、ワクチンを接種できない人には検査やスクリーニングなどの措置を取るとコメントしたが、「検査やスクリーニング」が現在カナダへの渡航者に対して課しているものと同様の措置を意味しているのかは、現時点では明らかにされていない。運輸相は「運輸部門のワクチン接種の義務化は、従業員、その家族、乗客、地域社会、そして全てのカナダ人の安全を守ることにつながる。また、より広い意味で、新型コロナウイルス感染拡大からカナダの回復を早めることになる」と述べた(CBCニュース8月13日)。

8月11日には、連邦政府の移民・難民・市民権省がワクチン接種を受けたカナダ人に対して、接種の状況を証明する政府の文書、いわゆる「ワクチンパスポート」を入手できるようにすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。外国旅行での使用を目的としているものの、各州でも導入可能なため、旅行者に対するワクチン接種義務付けの際に同文書が利用されることも想定される。

ただし、ジャスティン・トルドー首相が8月15日に下院を解散し、総選挙の投開票を9月20日とすることを表明(2021年8月18日記事参照)し、第1野党の保守党はワクチン接種義務付けに反対する方針を示していることから、選挙の結果次第ではこの発表が覆る可能性もあり、カナダへ渡航を予定している場合には、動向を注視する必要がある。

(飯田洋子)

(カナダ)

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