ケベック州がワクチンパスポートの9月導入を発表

(カナダ)

トロント発

2021年08月11日

ケベック州政府は8月10日、カナダでは初となる新型コロナウイルスのワクチンパスポートシステムを9月1日から導入することを発表した(CBCニュース8月10日)。

クリスチャン・デュべ同州保健相によると、ワクチンパスポートは、フェスティバル、バー、レストラン、ジム、トレーニング施設など、収容人数が大きく接触率の高い場所に適用され、対象となるサービスの利用客は、予防接種を受け、それを証明するためのQRコードを持っていることが必要となる。

宗教関係の集会や結婚式についてはまだ検討中とし、小売店や学校では当面使用されないという。12歳未満の子供は、その年齢層に承認された新型コロナウイルスワクチンがないため、本制度の対象外だ。医療上の理由でワクチンを接種できない人に対する免除に関しては、今後詳細が発表される予定になっている。スマートフォンを持っていない人は、ワクチンセンターで発行された紙の予防接種証明書を使用できる。

なお、当該サービスに従事する従業員にワクチンを義務付けることは、労働法に違反する可能性があることから、必要はないとする一方で、医療従事者については、予防接種の義務付けが検討されている。当初、デュべ保健相は、感染率の高い地域にのみ同システムを適用すると述べていたが、より伝染性の高いデルタ型変異株の感染拡大が方針変更の要因となった。

スマートフォンアプリは今後2週間で試験運用されるが、基本的には、アプリケーションはQRコードを読み取るだけで、他のユーザー情報を収集することはなく、情報を保存する一元化されたデータベースも存在しない、と説明している(「グローブアンドメール」紙8月10日)。

一方、ケベック州の市民的自由組合LDLのコーディネーター、キャサリン・デスコトー氏は「ワクチンパスポートが奇跡の解決策であるかのように提示されていることを懸念している。ケベックで集団免疫がまだ達成されていない中、人々が安全だという誤った感覚を持つことは避けたい」と語っている(CTVニュース8月9日)。デュべ保健相によると、ケベックでは市民(12歳以上)の84%が初回接種を受けており、これらの人々が8月末までに2回目の接種を完了してほしい、と期待を述べた。

(江崎江里子)

(カナダ)

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