政府が2つ目の「水素バレー」プロジェクト発表
(ポーランド)
ワルシャワ発
2021年09月24日
ポーランド政府は9月9日、水素経済の実現・産業集積・気候変動・インフラ建設の中心地となる「水素バレー」プロジェクトを南西部ドルノシロンスク県で開始すると発表した。これは、2021年5月18日に発足した南東部ポトカルパチェ県の水素バレーに続く国内2つ目のプロジェクトだ。政府は2030年までに水素バレーを国内に5つ設置することを計画している。
水素バレーでは、科学技術とビジネスとを融合させ、新たなネットワークを構築することが目標。水素に関する研究開発を行い、革新的な技術も導入する予定だ。また、交通運輸、農業、工鉱業などの分野で水素の利用可能性を探るほか、再生可能エネルギー源の開発や、余剰生産分のエネルギーの管理と貯蓄の方法についても技術開発を進める。
マテウシュ・モラビエツキ首相は同日、ドルノシロンスク県での水素バレー創設に関する意向表明書の調印式典に参加し、「現在世界5位の水素生産国として、水素技術の発展に取り組むことは、ポーランドの競争力を維持する上でも重要だ」と強調した。同県での水素バレーには、現地の大学や工科大学、ポーランド最大の水素製造企業、国有企業などがプロジェクトに携わっているため、高いポテンシャルがあるとみられている。
ポーランドは気候中立を達成するために、二酸化炭素排出量の少ないエネルギー源による新たなエネルギーシステムと経済を構築するという課題に直面している(2021年2月16日記事参照)。水素はポーランドのエネルギー転換で重要な役割を果たし、新たな投資に弾みをつけることが期待されている。式典でモラビエツキ首相は「水素バレープロジェクトは多くの新しい雇用を創出し、その地域だけでなくポーランド全体の発展の絶好の機会でもある」とコメントしている。
(今西遼香、ニーナ・ルッベ)
(ポーランド)
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