パラグアイ、低コストと安定性背景にブラジル向け生産拠点としての意義再認識、ジェトロセミナー

(パラグアイ、日本)

ブエノスアイレス発

2021年09月27日

ジェトロがパラグアイ商工省、在ブラジル日本商工会議所との共催で9月15日にオンライン開催した「パラグアイ・ビジネスセミナー」(2021年9月27日記事参照)では、パラグアイに進出するブラジル企業などが同国でビジネスを行う利点や課題について紹介した。

ブラジル南部サンタカタリーナ州に本社を置く繊維製品製造のグルポ・ルネリのクラウス・ロドリゴ・シュワルツ産業部長は、パラグアイのビジネス環境をめぐる強みと課題を紹介した。同社はブラジルとパラグアイ両国に製造拠点を持つが、ブラジルで高付加価値品、パラグアイでは低価格品の製造ですみ分けをしている。シュワルツ氏は、パラグアイの強みとして、豊富な水資源や低廉な電気料金、法人税が免除されるマキラ制度など生産コストの安さを挙げた。また、ローカルサプライヤーの少なさを課題として挙げつつ、地道に開拓すればある程度の現地調達は可能ということも事例とともに紹介した。2015年のパラグアイ事業立ち上げ当初は、ブラジルから資材を調達することが多かったが、その後にローカルサプライヤーを開拓した結果、今では包装容器、プラスチック容器、一部の素材は現地調達できるようになったという。

一方、化学品の輸入手続きに時間を要することが工場運営上の課題だと同氏は指摘した。また、これはブラジル側の問題だが、ブラジルでの輸入通関に時間がかかる点も大きな問題とした。パラグアイ工場のあるミンガ・グアス市から製品をサンタカタリーナ州の本社まで陸送しているが、300キロと近距離にもかかわらず、ブラジル側の輸入手続きに時間を要することで、国境付近で数日間待機することもあるという。それでも、低廉な生産コストは魅力で、今後、パラグアイ工場の生産能力を拡大するという。

また、自転車、中国メーカーの自動車、日本メーカーの二輪車も組み立てから小売業まで幅広い事業を手掛ける地場の有力企業グルポ・チャコメルのエルネスト・ワルデ産業部長は、政治的、経済的安定だけでなく、税制や社会的にも安定しており、予測可能なことがパラグアイの強みと述べた。

この他、パラグアイ商工省投資輸出促進局(REDIEX)のエステファニア・ラテルサ局長も講演し、ブラジルとチリを結び、パラグアイ北部のチャコ地方を横断する南米大陸横断回廊について紹介。同回廊により太平洋、大西洋岸の大規模インフラが広域に接続され、新たなビジネスチャンスが広がると述べた。

セミナーの締めくくりに、在パラグアイ日本商工会議所の高岡純博会頭、田中クリスティーナ理事は、同会議所が発行した投資ガイドブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとパラグアイ・ビジネスを検討する日本企業への同会議所のサービスについて紹介した。

(西澤裕介)

(パラグアイ、日本)

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