2020年第4四半期のGDP成長率は前期比マイナス1.9%、感染再拡大で再び減速

(イタリア)

ミラノ発

2021年03月08日

イタリア国家統計局(ISTAT)は3月3日、2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を、前期比(季節調整済み)でマイナス1.9%、前年同期比でマイナス6.6%と発表した(添付資料表参照)。2020年通年では、マイナス8.9%となった。第3四半期(7~9月)は経済活動が本格始動し、GDP成長率が前期比15.9%と大きく回復したが(2020年12月4日記事参照)、秋以降に新型コロナウイルスの感染が再拡大。全土で夜間の外出制限が実施され、一部経済活動も停止になるなど規制措置が強化される中(2020年11月6日記事参照)、経済成長率は再びマイナスに転じるかたちとなった。

需要項目別にみると、GDPの約6割を占める個人消費支出は前期比2.7%減となり、国内最終消費は全体で1.6%減だった。各種制限措置が緩和されていた第3四半期は、個人消費支出が13.2%増と大きく持ち直したものの、規制再強化の影響で店舗の営業および人の動きに制限がかかり、消費にも影を落とした。

総固定資本形成は、住宅投資が前期比2.8%減とマイナス成長になったものの、機械設備投資が3.3%増と押し上げ、全体で0.2%増とほぼ横ばいとなった。機械設備投資うち、特に輸送機器への投資は伸長し、13.1%増と2桁台の伸びを記録した。付加価値額でみても、機械設備投資は前年同期の94.4%に達しており、新型コロナウイルス発生前の水準に回復しつつある。そのほか、財・サービスの貿易は、輸出が1.3%増、輸入は5.4%増となった。

産業別にみると、サービス業が前年同期比7.4%減と大きく落ち込んだ一方、製造業は2.4%減にとどまった。イタリアの鉱工業生産指数(建設業を除く)も、第4四半期はおおむね前年同期の水準に達しており、製造業の回復は、経済復興の牽引役として期待される。イタリア産業連盟研究所も3月3日に発表したレポートの中で、観光業などのサービス業が依然として規制措置の影響を色濃く受ける中、製造業については2021年に入ってからも1月、2月と回復がみられることから、2021年第1四半期のGDPに寄与するとしている。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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