ケリー米特使が訪中、中国は「2つのリスト」へ回答を要求

(中国、米国)

中国北アジア課

2021年09月08日

米国のジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は8月31日~9月2日の日程で中国・天津市を訪れ、中国の解振華気候変動担当特使と会談した(2021年9月6日記事参照)。また、韓正副首相、外交トップの楊潔篪共産党政治局員、王毅国務委員兼外交部長とそれぞれオンライン会談も実施した。

生態環境部ウェブサイト(9月3日)では、2021年4月にケリー特使が訪中した際に締結した共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに沿って、両国が気候変動対話および協力の計画、11月に英国グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催などについて十分に意見交換したとしている。また、中国が2030年より前に二酸化炭素(CO2)排出をピークアウトさせ、2060年より前にカーボンニュートラルを実現するために具体策を策定中で、今後続々と対策を打ち出していくことを示し、米国は2030年までに2005年比で温室効果ガス(GHG)の50~52%削減を確実に実行していくための政策などを紹介したと指摘した。

さらに、両国が引き続き対話を継続していくことを決定し、気候変動対話メカニズムを構築し、グリーン低炭素分野で幾つかの協力計画・プロジェクトを実施することについても議論したとしている。

なお、新華社(9月2日)の報道によると、韓副首相はケリー特使に対して、「気候変動対策は米中協力の重要な1つの分野」と言及しつつも、協力には「信頼が前提だ」と述べたとしている。外交部ウェブサイト(9月2日)では、楊共産党政治局員がケリー特使に、両国は気候変動対策、新型コロナウイルスの抑え込み、経済回復などで広範に協力強化できるとしつつ、米国の一連の中国への内政干渉行為により、中国の利益が損なわれ両国関係が困難に直面しており、これらの行為に反対すると表明したとしている。同じく外交部ウェブサイト(9月1日)によると、王国務委員兼外交部長もケリー特使との会談で、気候変動対策などでの両国協力の重要性には触れつつ、米国の対中戦略の重大な誤りで両国関係が厳しい困難に直面していると牽制したと指摘している。そして、王国務委員兼外交部長は、中国が提出している「2つのリスト(注)」などを米国が重視して積極的に回答し、実際の行動で米中関係改善を行うべきと求めたしている。

中国側の発表や報道からは、気候変動対策などでの協力姿勢は示しつつも、バイデン政権の対中政策への不満を表明し、その圧力緩和を米国に訴えたことが強調されている。

(注)2021年7月26日の外交部定例記者会見によると、中国が米国に改善を求めるために提出したリストで、(1)米国が必ず停止しなければならない誤った言行のリスト、(2)中国が重大な関心を持つ重点個別案件のリスト、を指す。前者は、共産党員およびその家族のビザ制限、中国の指導者・政府高官・政府部門への制裁、中国留学生へのビザ制限、中国企業や孔子学院への圧力、カナダで拘留される華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)の引き渡し要求などの撤廃・停止を求めるもの。後者は、一部の中国からの留学生の訪米ビザ申請の拒絶、中国国民の米国における不平等な待遇、中国国民への暴力的襲撃などの個別案件の解決を求めるものとしている。

(宗金建志)

(中国、米国)

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