ホーチミン市は新型コロナ対策の社会隔離を継続、一部で規制緩和

(ベトナム)

ホーチミン発

2021年09月21日

ベトナムのホーチミン市は、新型コロナウイルス対策の首相指示16号(16/CT-TTg)に基づく厳格な社会隔離措置について、9月15日までとしていた期限を9月30日まで延長することを決定した(2021年8月18日記事参照)。今回の決定により、市内全域での外出制限などは継続する一方で、一部の活動については規制を緩和することとなった。

ホーチミン市は政府の指示に基づいて9月15日までの感染封じ込めを目指してきたが、直近7日間の新規感染者数は1日平均約6,000人で推移しており、全国の50~60%前後を占める。感染収束の兆しが見えない中で、首相指示16号に沿った厳格な社会隔離措置の適用を継続することとなった。

同市が15日に発出した文書3072号(3072/UBND-VX)では、規制緩和の内容も盛り込んでおり、これまで原則禁止としていた市内の区・県を越えた移動について、配車アプリを利用した配達では、感染防止策と新型コロナウイルス検査(注1)の実施を条件に、午前6時から午後9時までの営業を認めることとなった。

一部の業種(注2)については、午前6時から午後9時までの営業が許可される。これらの業種では、営業に際して従業員が最低1回のワクチン接種を済ませ、5日に1度、各自の費用負担により新型コロナウイルス検査を受ける必要がある。また、飲食店については、店内での飲食を伴わない配達に限定して営業を認め、製造業などと同様、「3つの現場(勤務・飲食・宿泊)」を1カ所に集約することを条件としている。

さらに、感染リスクの低い7区、クチ郡、カンゾー郡では、個人とQRコードをひもづけたグリーンカード制度を試験導入するとしている。

今回の決定では、規制緩和に向けた動きも見られるものの、あくまで首相指示16号に基づく社会隔離措置の適用範囲内であり、市民生活や企業活動の平常化に向けては、新型コロナウイルスをめぐる状況の改善・ワクチン接種の進展とともに、さらなる規制緩和が待たれる。

(注1)配達員に対する新型コロナウイルス検査の費用はホーチミン市が負担。

(注2)規制緩和の対象は、郵便、通信、オフィス機器、学用品、飲食店、農業生産支援、獣医、機械設備、交通手段の保守サービス、食品の生産・加工・販売の各事業。

(阿部浩明)

(ベトナム)

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