トルコで初となる国家AI戦略を発表

トルコ政府は8月24日、トルコで初となる国家AI戦略（National Artificial Intelligence Strategy：NAIS）を公表した。大統領府直轄のデジタル変革局（Digital Transformation Office）および産業技術省が共同で作成したもの。

AI（人工知能）の活用を通じたイノベーションの創出や、より信頼性の高いデータに基づく価値の創造などを目指したもので、政府が第11次国家開発計画などで策定したトルコのDX（Digital Transformation）分野の既存戦略との整合が図られている。国家AI戦略には、2021～2025年の期間で目指すビジョン、6つの戦略的優先項目とこれに沿う22の目標、119の具体的なアクション、ガバナンス体制などが含まれている。

戦略的優先項目は以下の6項目で構成されている。

1. AI分野における専門家育成と雇用の拡大
2. AI分野における研究、起業、イノベーションの支援
3. 信頼性の高いデータとインフラへのアクセス促進
4. AI技術の社会への適応のための規制
5. AI分野における国際協力の強化
6. 構造改革および労働市場改革の推進

上記6項目での取り組みを通じて、2025年までに以下を実現する予定としており、今後のDX分野におけるトルコの動向が注目される。

• AI分野のGDPへの貢献度5％
• AI分野の雇用者数5万人（中央政府および自治体におけるAI分野の職員数1,000人）
• 学部レベルの学位保有者1万人
• AI分野の研究開発のGDPに占める支出割合15％
• AI分野のスタートアップ1,000社
• 200の公的機関および企業で高パフォーマンスのコンピュータインフラへのアクセスを提供
• 10の業種でデータシェアリングのためのクラウド・プラットフォームを設立
• 20社がサンドボックス制度（注）を活用
• 10のAI分野での社会適応に関する研究プロジェクトの実施
• 100の国際的AIプロジェクトへの参加

（注）革新的な技術・サービスの事業化を図るため、地域限定や期間限定で現行法の規制の適用を一時的に停止する制度。

（簑島大悟）