7月のインフレ率は前月比0.96%、政策金利も1.0ポイント引き上げ

(ブラジル)

米州課

2021年08月20日

ブラジル地理統計院(IBGE)は8月10日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の7月の上昇率が前月比0.96%だったと発表した。7月単月のインフレ率としては2002年以降最高の数値。前年同月比では8.99%となり、ブラジル中央銀行が設定する年間のインフレ目標値(2.25~5.25%)の上限を5カ月連続で上回った(添付資料図参照)。

前月比の上昇率を費目別にみると、最も上昇率が高かったのは住居(3.10%増)、寄与度も最も高く0.48ポイントだった。押し上げ要因となったのは前月に引き続き電気代金の上昇(7.88%増)だ。ブラジルでは現在、電気代の追加料金は水力発電所のダム貯水量や火力発電所の稼働率を基に算定されている。追加料金は「緑」「黄」「赤1」「赤2」の4段階の色で示される。「緑」だと追加料金はないが、「黄」の時は100キロワット時(kWh)当たり1.34レアル(約27円、1レアル=約20.4円)、「赤1」は4.16レアル、「赤2」は6.24レアルが追加徴収される。国家電力庁(ANEEL)は7月から11月にかけて「赤2」の追加料金を6.24レアルから9.49レアルに値上げした(2021年8月2日記事参照)。これが「住居」項目を押し上げる要因となった。また、住居の対象項目であるプロパンガスの価格(4.17%増)や都市ガス価格(0.48%増)の上昇も影響した。

次に上昇率が高かったのは、交通・輸送(1.52%増)だった。航空券価格の上昇(35.2%増)や南東部ポルトアレグレ市での都市バスの乗車料金の価格調整(35.2%増)などが影響した。調査対象9費目のうち唯一減少したのは保健・個人衛生品だった(0.65%減)。

また、ブラジル中央銀行は8月4日、金融政策委員会(Copom)を開催し、政策金利(Selic)を4.25%から5.25%に1.0ポイント引き上げた。4会合連続の利上げとなった。同日付のプレスリリースによると、中銀は利上げの理由として、降雨量不足が影響して今後も電力価格のさらなる上昇が予測されることや、食品価格の上昇も見込まれることなどを挙げている。9月21、22日に予定している次回Copomでの追加利上げの可能性も示唆した。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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