6月のインフレ率は前月比0.53%、引き続き電気料金が影響

(ブラジル)

米州課

2021年08月02日

ブラジル地理統計院(IBGE)は7月8日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の6月の上昇率が前月比0.53%だったと発表した。前年同月比では8.35%となり、ブラジル中央銀行が設定する年間のインフレ目標値(2.25~5.25%)の上限を4カ月連続で上回った(添付資料図参照)。

前月比の上昇率を費目別にみると、通信(0.12%減)を除く全ての費目が上昇したが、全体を最も押し上げたのは「住宅」だ。上昇率こそ1.10%だったが、寄与度は0.17ポイントで全費目の中で最も高かった(添付資料表参照)。

7月8日付IBGEプレスリリースによると、電気代の上昇が「住居」の物価上昇率を押し上げた要因だ。ブラジルでは現在、電気代の追加料金は水力発電所のダム貯水量や火力発電所の稼働率を基に算定されている。追加料金は「緑」「黄」「赤1」「赤2」の4段階の色で示される。「緑」だと追加料金はないが、「黄」の時は100キロワット時(kWh)当たり1.34レアル(約29円、1レアル=約21.5円)、「赤1」は4.16レアル、「赤2」は6.24レアルが追加で徴収される。6月は、5月28日付国家電力庁(ANEEL)のプレスリリースで発表していたとおり(2021年7月9日記事参照)、「赤2」が適用されたことによって電気代の追加料金が4.16レアルから6.24レアルに上昇した。ANEELは7月から11月にかけて「赤2」の追加料金を6.24レアルから9.49レアルに値上げすることを決めており(6月29日付現地紙「グローボ」)、8月10日発表予定の7月のIPCAはさらに上昇すると予測される。

このほか、寄与度は0.05ポイントと低いものの、今回最も上昇率が高かったのは衣類の1.21%増だった。靴やアクセサリーの1.53%増、男性用衣類の1.52%増、女性用衣類の1.10%増などが押し上げ要因となった。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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