EUビジネス界、ASEANのエネルギー移行に関するレポートを発表

(EU、ASEAN)

ジャカルタ発

2021年08月31日

EU-ASEANビジネス諮問委員会(EU-ABC)は8月24日、ASEANのエネルギー移行(注1)に関する報告書「Powering ASEAN’s  Energy Transition」を発表した(添付資料参照)。報告書は、ASEAN各国が化石燃料に依存する現状やグリーンファイナンス(環境に優しい企業が金融面で優遇される仕組み)のエコシステムが不十分なことなどの課題を指摘しつつ、EUが進める「公正な移行(Just Transition)メカニズム」(2020年1月21日記事参照)の導入や、化石燃料への補助金制度の廃止などを提案している。

2021年のASEAN議長国であるブルネイは、経済分野で優先的に取り組む事項(優先経済デリバラブル:PED)を定めており、持続性(サステナビリティ)の分野では、エネルギー転換・保障に関するASEAN共同宣言の策定を盛り込むなど、環境に配慮した経済成長を目指している(2021年1月19日記事参照)。EU-ABCのドナルド・カナック議長は「『エネルギー移行メカニズム(ETM)』は、民間企業および政府から資金を調達し、化石燃料による発電を減らしつつ、再生可能エネルギーへの投資を加速させる方策で、ASEANの化石燃料依存からの脱却を支援しうる」とした上で、「アジア開発銀行(ADB)がASEANの複数の国でETMの実現可能性を追求しており、EU-ABCと会員企業がこの動きを支援している」とコメントした。提言には、「ASEANグリーンファイナンス・タクソノミー(注2)」の導入や、炭素税、排出量取引などカーボン・プライシング(炭素の価格付け)により投資を促すことなども含まれる。

なお、日本もASEANのエネルギー移行を支援する。梶山弘志経済産業相は2021年5月、持続的な経済成長とカーボンニュートラルの同時達成に向けて、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を新たに表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。具体的には、再生可能エネルギー・省エネ、液化天然ガス(LNG)などのプロジェクトへ100億ドルの資金支援などを行う。

(注1)気候変動問題への対処のため、化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーを普及させることを指す。

(注2)タクソノミー(持続可能な経済活動の類型)は、環境的に持続可能な投資を促進するため、グリーンな経済活動や投資を分類する枠組み。なお、EUでは2020年7月から施行されている(2020年6月30日記事参照)。

(上野渉)

(EU、ASEAN)

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