ASEAN議長国ブルネイ、2021年に経済分野で優先的に取り組む10事項を発表

(ASEAN、ブルネイ、カナダ)

バンコク発

2021年01月19日

2021年のASEAN議長国であるブルネイは1月11日、ASEAN高級経済実務者会合(SEOM)リトリート(非公式な会合)をオンライン開催した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ブルネイ財務経済省のメイ・ファイザ・ハジ・アフマッド・アリフィン経済担当事務次官が議長を務め、ブルネイ議長年の経済分野における方針を示した。ブルネイが掲げる2021年のテーマ「We Care, We Prepare, We prosper」(2020年12月7日記事参照)とASEAN経済共同体(AEC)の柱に基づき、議長国として経済分野で優先的に取り組む10の事項(優先経済デリバラブル:PED)を提案した。優先的に取り組む事項は以下のとおり。

〇復興(Recovery)分野

1.非関税措置(NTMs)の合理化に向けた包括的評価:NTMの費用と効果を測定するツールを開発する。導入前に必要性(Necessary)、相応性(Proportional)、合理性(Reasonable)、正当性(Justifiable)などの面でNTMを評価する段階的実施手続きを策定する。

2.新型コロナウイルス後の観光産業復興計画。

3.ASEANカナダFTA(自由貿易協定)の交渉開始。

4.ASEAN投資円滑化枠組み(AIFF)の策定:これまでの地域イニシアティブと投資円滑化を継続しつつ、コロナ後のニューノーマル下での規範に備える。

〇デジタル化(Digitalization)分野

5.ASEAN電子商取引協定の履行に向けたワークプラン(2021~2025年):地域共通ルールの実施に向けて具体的計画を策定する。

6.サイバー空間における責任ある国家行動規範の実施に向けた地域行動計画の策定:サイバーセキュリティが担保された信頼できるエコシステム構築に向けて域内で協力する。

〇持続性(Sustainability)分野

7.ASEAN食品・農業・林業(FAF)支援枠組み:FAFに従事する小規模農家・協同組合・中小零細企業に対して、産品の質を向上させ、地域・国際標準に適合した競争力ある農産物を生産できるよう支援する。

8.エネルギー転換・エネルギー保障に関するASEAN共同宣言:ASEANのパートナーである対話国とエネルギー分野で協力する。

9.循環経済に向けた枠組み。

10.鉱物分野における地域協力: ASEANの貴重な資源、戦略的鉱物の利用にかかる地域協力の必要性や重要性について認識を一致させる。

メイ・ファイザ事務次官は、2020年の議長国だったベトナムと同様に、経済統合と地域復興を推進するASEANのプロセスを継続すべく、努力を続ける、と意気込みを示した。

(北見創)

(ASEAN、ブルネイ、カナダ)

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