公共交通機関の利用制限緩和、エッセンシャルワーカー以外も利用可能に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月13日

アルゼンチン運輸省は8月10日、運輸省決議第269/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、全国の都市内および都市間をつなぐ公共交通機関の利用制限措置を緩和した。利用者数の制限は継続するが、エッセンシャルワーカー以外も公共交通機関の利用が可能になった。

政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う公衆衛生上の緊急事態宣言を2020年3月12日付で発令し、同月18日には公共交通機関の利用を厳しく制限した。その後、外出禁止措置の導入と同時にバスや鉄道、地下鉄の利用をエッセンシャルワーカーのみに限定、乗車には外出許可証の提出を利用者に求めた。11月には公共交通機関の利用制限措置を若干緩和し、バスの利用者数は座席定員数までとしたが、通勤時など混雑する時間帯には立席も10人まで認めるとした。鉄道の場合は、同じく座席定員数と1平方メートル当たり1人までの立席も認めた。さらに、エッセンシャルワーカーのほかに教員や学生なども公共交通機関の利用を許可した。

今回の規制緩和は、新規感染者数や死者数の減少傾向を受けて、アルベルト・フェルナンデス大統領が発表した行動制限措置の緩和(2021年8月10日記事参照)に伴うものだ。主な内容は以下のとおり。

  • バスの利用者数は座席定員数を超えてはならないが、混雑する時間帯は立席を20人まで利用可能とする。
  • 鉄道の利用者数は座席定員数まで。混雑する時間帯は立席を1平方メートル当たり4人まで利用可能とする。
  • エッセンシャルワーカーと教育関係者などに限る公共交通機関の利用は、衛生・疫学的リスクが「警戒地域」と定めた地域のみ。(ただし、8月12日時点で全国に「警戒地域」はない)
  • 公共交通機関内での密を避けるべく、混雑する時間帯を避け、個人用の移動手段の利用を推奨する。

ブエノスアイレス市内の地下鉄については、感染状況などに基づいて乗客数を増加させていく方針と市政府が発表した。現状では、座席定員数まで認め、さらに1車両40人までの立席も許可する。

各種規制の緩和が続く中、デルタ型変異株の感染拡大への懸念が高まっている。これまでのところ、同変異株の市中感染は確認されていないものの、ブエノスアイレス市のフェルナン・キロス保健相は8月8日、「(同変異株の)市中感染は短期的に確認されるだろう。感染の第3波は避けられない」と述べた。

写真 マスクを着用してブエノスアイレス市内を走るバスに乗り込む乗客(ジェトロ撮影)

マスクを着用してブエノスアイレス市内を走るバスに乗り込む乗客(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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