新型コロナ累計感染者500万人突破も、行動制限や入国制限措置は緩和

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月10日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は8月6日、新型コロナウイルスの新規感染者数と死者数が減少傾向にあることを受け、これまでの行動制限措置を緩和すると発表した。フェルナンデス大統領は「われわれは健康、経済、社会的に非常に厳しい状況を乗り越えてきた。10週連続で新規感染者数が減少しており、8週連続で死者数や集中治療室(ICU)で治療を受けている重症患者数も減少している。さらに、感染リスクが最も高い『(衛生・疫学的リスクが)警戒地域』と定める地域が3週間前から確認されていない」と現状を説明した。また「デルタ型変異株は135カ国で確認されているが、わが国は持ちこたえている」と述べ、その要因を新型コロナワクチン接種計画の効果だとした。

保健省の報告によると、8月6日時点の全国の1日当たり新規感染者数は1万3,549人で、累計感染者数は500万人を超えた。累計死者数は7月中旬に10万人を超え、8月6日時点で10万7,213人となった。全国のICU病床使用率は52.4%、ブエノスアイレス首都圏では同58.3%となっている。

8月7日に公布した必要緊急大統領令(DNU)494/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによる行動制限措置とその主な緩和措置は以下のとおり。

  • 新たな行動制限措置は8月7日から10月1日まで有効。
  • 全国で引き続き禁止される活動は、a)修学旅行や団体・グループ旅行、b)自宅など屋内での10人以上の集会、屋外スペースでの20人以上の集会、c)屋外の公の場での100人以上の活動や集会、d)ディスコ、パーティ会場など、e)1,000人以上のイベント。
  • 経済、工業、商業、サービス、文化、スポーツ、宗教、教育、観光、娯楽、社会などの活動に関わる屋内での収容人数は最大70%まで引き上げ。
  • 衛生・疫学的リスクが高い「警戒地域」は、30万人以上の都市でICUの病床使用率が80%を超え、直近7日間のICU病床使用率が7日間前に比べて20%以上上昇した地域を指す。「警戒地域」として確認された地域は、9日間にわたって夜間外出やイベント開催を禁止、全ての活動の収容人数を30~50%に引き下げるなど、規制が再び厳格化される。

また、同日公布した行政決議第793/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、国境封鎖措置を同じく10月1日まで再び延長したが、入国人数制限を若干緩和する。入国はアルゼンチン人、アルゼンチン居住者、または非居住者の外国人で特別に入国が認められている者に限る。これまで1日当たり入国者数は約1,000人に制限していたが、8月7日から9月5日までは1週間当たり1万1,900人、9月6日から10月1日までは同1万6,100人までの入国を認める。また、これまでは英国やアフリカ大陸諸国、ブラジル、チリ、インドからの航空便の停止を定めていたが、今回の決議では特定の国・地域からの直行便の停止は定めていない。ただし、観光目的など非居住者外国人の入国は引き続き禁止している。

写真 左:ブエノスアイレス市パレルモ地区の日本庭園への入場を待つ行列、右:にぎわうパレルモ湖前(8月7日、ジェトロ撮影)

左:ブエノスアイレス市パレルモ地区の日本庭園への入場を待つ行列、右:にぎわうパレルモ湖前(8月7日、ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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